非上場株式の売却相談で弁護士に持参すべき資料

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本ページは、相談及び交渉の進め方に関する解説のうちの一つです。全体像は、次の中核となるページをご覧ください。
▶ 少数株主が自分で会社と交渉する場合と弁護士に依頼する場合の違い
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非上場株式の売却について弁護士への相談を予定しておられる方から、「相談の際に何を持っていけばよいのか」というお尋ねをいただくことがあります。手元にある書類が少ないために、相談を先延ばしにしてしまう方も少なくありません。
相談にあたっては、定款、登記事項証明書、株主名簿における自らの記載、会社の計算書類、及び会社から届いた通知書などが手がかりとなります。それぞれの資料が持つ意味は次のとおりです。
本記事では、これらの資料のうちどれを優先して持参すべきか、それぞれの資料がどのような理由で必要となるのか、及び手元にない場合の入手の方法について解説します。
とりわけ優先度が高いのが、会社から届いた通知書です。株式譲渡承認請求に伴う買取りの通知を受領した場合、売買価格の決定の申立ては通知があった日から20日以内にしなければならず(会社法第144条第2項、第7項)、この期間を徒過いたしますと、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額が売買価格となります(同条第5項、第7項)。到達日を示す封筒は、必ず保管してください。
それぞれの資料が必要な理由
持参していただく資料は、いずれも相談の場で確認する事項と結び付いています。何のために必要となるのかを知っておいていただくと、優先順位を付けやすくなります。
定款 採り得る手続が定款によって定まります
非上場会社の多くは、譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨を定款で定めています(会社法第107条第1項第1号、第108条第1項第4号)。承認をする機関がどこであるか(同法第139条第1項)、相続人等に対する売渡しの請求の定めがあるか(同法第174条)、特定の株主から自己株式を取得する場合に他の株主の売主追加請求権が排除されているか(同法第164条第1項)といった点は、いずれも定款によって定まります。採り得る手続の選択に直結します。
登記事項証明書 会社の機関と株式の設計を確認します
法務局において誰でも取得することができます。取締役会の設置の有無、監査役の設置の有無、発行済株式の総数、及び株式の譲渡の制限に関する定めの有無を確認することができます。
株主名簿 会社に対する対抗要件に関わります
自らの名義がどのように記載されているかは、すべての前提となります。株式の取得は、株主名簿に記載又は記録をしなければ、会社に対抗することができません(会社法第130条第1項)。相続により取得された場合、名義が被相続人のままとなっている例が少なくありません。
計算書類 価値の検討と、買主の選択に関わります
株式の価値は会社の財務内容から導かれます。また、会社自身が買主となる場合には、対価の総額は分配可能額を超えることができませんので(会社法第461条第1項第3号)、会社の財務状況は、誰を買主とするかの選択にも関係します。
配当の記録及び取得の経緯を示す資料
配当の有無は、評価の議論において必ず問題となります。過去の通知書、確定申告書の控え、預金通帳の記録等が手がかりとなります。また、株式を取得された経緯が、相続によるものか、贈与によるものか、払込みによるものか、譲受けによるものかによって、確認すべき事項が異なります。取得の経緯は、譲渡所得の計算における取得費にも関係します。
資料がない場合の進め方
資料がお手元にない場合でも、着手できることがあります。
表1 入手の方法
| 資料 | 入手の方法 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 登記事項証明書 | 法務局において取得いたします | — |
| 定款 | 会社に対する閲覧及び謄本の交付の請求 | 会社法第31条第2項 |
| 株主名簿 | 会社に対する株主名簿の閲覧謄写の請求 | 会社法第125条第2項 |
| 自己の株主名簿記載事項 | 会社に対する書面の交付の請求 | 会社法第122条第1項 |
| 計算書類等 | 会社に対する閲覧及び謄本の交付の請求 | 会社法第442条第3項 |
| 会計帳簿 | 会社に対する会計帳簿の閲覧謄写の請求(100分の3以上) | 会社法第433条第1項 |
計算書類等の閲覧及び謄本の交付の請求には持株数の要件がありません。詳細は記事「少数株主が決算書を入手できないときに確認すべき権利」に整理しています。
なお、会社に対する請求をどの順序で行うかは、事案によって異なります。持株数の要件がない手段から用いるのが通例ですが、期間の制限のある手続が控えている場合には、優先順位が変わります。したがいまして、資料の収集を始める前の段階でご相談いただくことにも意味があります。
また、株主総会議事録についても、株主又は債権者は、営業時間内であればいつでも、閲覧又は謄写の請求をすることができます(会社法第318条第4項)。持株数の要件も、請求の理由を明らかにすることも求められていませんので、計算書類等と併せて求めることができます。役員の選任及び計算書類の承認の経緯を確認する手がかりとなります。
また、株券が見当たらないというご相談も多くいただきます。現在は株券を発行していない会社が大多数ですので、まず登記事項証明書により株券発行会社であるか否かを確認いたします。株券発行会社である場合には、株券の取扱いを別途検討することとなります。
資料がそろわない場合
古い株式ほど、資料が失われているのが通常です。株券が見当たらない、取得の経緯を知る親族が既にいない、会社が回答しないという事案は珍しくありません。
その場合であっても、登記事項証明書は誰でも取得することができますし、貸借対照表の公告がされていれば、これによって会社の概況を把握することができることがあります(会社法第440条第1項)。まずは入手することができるものから確認し、不足する部分について会社に対する請求を検討するという順序をとります。
会社に資料を求めることにより、売却の意向を知られてしまわないか
計算書類等の閲覧及び謄本の交付の請求は、請求の理由を明らかにすることが求められていない権利の行使です。したがいまして、請求そのものにおいて売却の意向を明らかにしなければならないものではありません。もっとも、会社との関係にどのような影響が生ずるかは事案によって異なりますので、どの資料をどの順序で求めるかを含めてご相談ください。
ご相談の際にうかがう事項
表2 主な確認事項
| 事項 | 趣旨 |
|---|---|
| 株式の取得の経緯 | 相続、贈与、払込み、譲受け等の別を確認いたします |
| 保有株式数と発行済株式の総数 | 持株比率を把握いたします |
| 他の株主の構成 | 買主となり得る者を検討いたします |
| 会社との従前のやり取り | いつ、誰に、どのように申し入れたかを確認いたします |
| 会社の事業及び資産の状況 | 評価の枠組みを検討いたします |
| ご本人の意向 | 換価を目指すか、権利行使を継続するかを確認いたします |
| 期限の有無 | 通知を受領している場合は最優先で確認いたします |
ご記憶に基づくお話で差し支えありません。確定していない事項は、確定していない旨をお伝えいただければ足ります。むしろ、不確かな記憶を確かなものとしてお話しいただくことのほうが、後の検討に支障を生じます。
なお、具体的な交渉方法は、株主構成、財務状況、株価、従前の経緯等により異なり、当事務所が個別案件を通じて蓄積してきた実務上のノウハウにも属するため、本ページでは詳細を開示していません。ご相談の際に、事案に即して説明いたします。
ご相談から受任までの流れ
表3 一般的な流れ
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | お電話又は問い合わせ様式によりご連絡をいただきます |
| 2 | ご相談の日時を調整いたします |
| 3 | ご相談において事実関係と資料を確認いたします |
| 4 | 採り得る手段と見通しをご説明いたします |
| 5 | 費用の見込みをご説明いたします |
| 6 | ご依頼をいただく場合、委任契約を締結いたします |
見通しは、資料の範囲に応じてお示しできる精度が変わります。資料が乏しい段階では、まず資料を確保するところから着手することとなります。弁護士費用の考え方については、記事「少数株式の売却で弁護士費用はどのように考えるか」に整理しています。
よくあるご質問
質問1 資料が何もありませんが相談できますか。
ご相談いただけます。登記事項証明書は誰でも取得することができますし、会社に対する請求により入手できる資料もあります。何がないかを整理することも、ご相談の内容に含まれます。
質問2 会社に知られずに相談できますか。
ご相談の事実を当事務所から会社へお伝えすることはありません。会社に対する請求を行う段階で、どのように進めるかを改めてご相談いたします。
質問3 株式買取業者から連絡が来ていますが、書面を持参してよいですか。
ぜひお持ちください。契約書、覚書、提示書面は、内容の確認において重要な資料となります。株式買取業者は買手であり、株主本人の代理人ではありません。この点は記事「株式買取業者の行為が法的問題となった裁判例から何を学ぶか」に整理しています。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕)では、非上場株式・少数株式について、株主側の代理人としてご相談をお受けしています。当事務所は株式を買い取る立場ではなく、株主の方が株式を保有したまま手続を進めるものです。
- 電話番号 03-6435-8418
- 受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜日・日曜日・祝日も受付)
- 所在地 〒105-6017 東京都港区虎ノ門四丁目三番一号 森トラスト城山トラストタワー17階
本記事は一般的な法律上の枠組みをご説明するものであり、結論は事案ごとの事実関係及び資料によって異なります。結果を保証するものではありません。課税関係については税理士にご確認ください。
本記事の根拠条文
会社法 第31条第2項(定款の閲覧等)、第107条第1項第1号・第108条第1項第4号(譲渡制限株式)、第122条第1項(株主名簿記載事項を記載した書面の交付)、第125条第2項(株主名簿の閲覧謄写請求)、第130条第1項(株式の譲渡の対抗要件)、第139条第1項(譲渡等の承認をする機関)、第144条第2項・第5項・第7項(売買価格の決定及び20日の期間)、第164条第1項(売主追加請求権の排除)、第174条(相続人等に対する売渡しの請求)、第318条第4項(株主総会議事録の閲覧等)、第433条第1項(会計帳簿の閲覧謄写請求)、第440条第1項(貸借対照表等の公告)、第442条第3項(計算書類等の閲覧及び謄本の交付の請求)、第461条第1項第3号(分配可能額による財源規制)
資料がそろっていなくても構いません。まずはお手元にあるものをお持ちください。
必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。
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本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。




