少数株式を現金化したいときに最初に集める資料
これらがすべてそろわなければ相談ができないということではありません。お手元にあるものからで差し支えありません。
第2節 それぞれの資料が必要な理由
定款 非上場会社の多くは、譲渡による株式の取得について会社の承認を要する旨を定款で定めております(会社法第107条第1項第1号、第108条第1項第4号)。承認をする機関がどこか(会社法第139条第1項)、相続人等に対する売渡請求の定めがあるか(会社法第174条)、特定の株主から自己株式を取得する場合の売主追加請求権が排除されているか(会社法第164条第1項)といった点は、いずれも定款で定まります。手続の選択に直結いたします。
登記事項証明書 法務局において誰でも取得することができます。取締役会の設置の有無、監査役の設置の有無、発行済株式の総数、譲渡制限に関する定めの有無を確認できます。
株主名簿 自らの名義がどのように記載されているかは、すべての前提です。株式の取得は、株主名簿に記載又は記録をしなければ会社に対抗することができません(会社法第130条第1項)。相続により取得した場合、名義が被相続人のままとなっている例が少なくありません。
計算書類 株式の価値は会社の財務内容から導かれます。また、会社自身が買主となる場合には、対価の総額は分配可能額を超えることができませんので(会社法第461条第1項第3号)、財務状況は買主の選択にも関係いたします。
配当の記録 配当の有無は、評価の議論において必ず問題となります。過去の通知書、確定申告書の控え、預金通帳の記録等が手がかりとなります。
取得の経緯を示す資料 相続によるものか、贈与によるものか、払込みによるものか、譲受けによるものかによって、確認すべき事項が異なります。譲渡所得の計算における取得費にも関係いたします。
第3節 手元にない場合の入手方法
表2 入手の方法
| 資料 | 入手の方法 | 根拠条文 |
|---|---|---|
| 定款 | 会社に対する閲覧及び謄本の交付の請求 | 会社法第31条第2項 |
| 登記事項証明書 | 法務局において取得いたします | — |
| 株主名簿 | 会社に対する閲覧謄写の請求 | 会社法第125条第2項 |
| 株主名簿記載事項を記載した書面 | 会社に対する交付の請求 | 会社法第122条第1項 |
| 計算書類等 | 会社に対する閲覧及び謄本の交付の請求 | 会社法第442条第3項 |
| 株主総会議事録 | 会社に対する閲覧謄写の請求 | 会社法第318条第4項 |
| 会計帳簿 | 会社に対する閲覧謄写の請求(100分の3以上) | 会社法第433条第1項 |
計算書類等の閲覧及び謄本の交付の請求には持株数の要件がありません。会社が「株主には見せる義務がない」と回答することがありますが、この規定に照らして正確とはいえません。詳細は記事「少数株主が決算書を入手できないときに確認すべき権利」(F01)に整理しております。
なお、株主名簿の閲覧謄写の請求及び会計帳簿の閲覧謄写の請求については、請求の理由を明らかにする必要があります(会社法第125条第2項、第433条第1項)。
第4節 資料がそろわない場合
古い株式ほど、資料が失われているのが通常です。株券が見当たらない、取得の経緯を知る親族が既にいない、会社が回答しないという事案は珍しくありません。
その場合であっても、登記事項証明書は誰でも取得することができますし、貸借対照表の公告がされていれば概況を把握できることがあります(会社法第440条第1項)。まずは入手できるものから確認し、不足する部分について会社に対する請求を検討するという順序をとります。
よくあるご質問
質問1 会社に資料を求めると、売却の意向を知られてしまいませんか。
計算書類等の閲覧及び謄本の交付の請求は、理由を明らかにすることが求められていない権利の行使です。もっとも、会社との関係にどのような影響が生ずるかは事案によって異なりますので、順序を含めてご相談ください。
質問2 株券が見当たりません。
株券を発行していない会社が多数です。まず登記事項証明書により株券発行会社であるかを確認し、株券発行会社である場合には、その取扱いを検討することとなります。
質問3 資料がそろってから相談すべきですか。
そのようなことはありません。お手元にある資料の範囲でご相談いただき、不足する資料の集め方から一緒に検討いたします。
弁護士法人M&A総合法律事務所へのご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所(代表弁護士 土屋勝裕)では、非上場株式・少数株式について、株主側の代理人としてご相談をお受けしております。当事務所は株式を買い取る立場ではなく、株主の方が株式を保有したまま手続を進めるものです。
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本記事は一般的な法律上の枠組みをご説明するものであり、結論は事案ごとの事実関係及び資料によって異なります。結果を保証するものではありません。課税関係については税理士にご確認ください。
本記事の根拠条文
会社法 第31条第2項(定款の閲覧等)、第107条第1項第1号・第108条第1項第4号(譲渡制限株式)、第122条第1項(株主名簿記載事項を記載した書面の交付)、第125条第2項(株主名簿の閲覧謄写請求)、第130条第1項(対抗要件)、第139条第1項(承認機関)、第164条第1項(売主追加請求権の排除)、第174条(相続人等に対する売渡請求)、第318条第4項(株主総会議事録の閲覧等)、第433条第1項(会計帳簿の閲覧謄写請求)、第440条第1項(貸借対照表等の公告)、第442条第3項(計算書類等の閲覧及び謄本の交付の請求)、第461条第1項第3号(分配可能額による財源規制)
内部リンク
送客先ランディングページ /landing/minority/(第1号。主)
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資料は、すべてそろっていなくても構いません。まずは今お手元にあるものをお持ちください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。
必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。



