株主名簿名義書換請求書の書き方 各欄の記載例とフォーマット

この記事の位置付け

株主名簿の名義書換請求書の書き方に関するメインのページです。本ページは、少数株主として株式の売却を考える方に向けて、各欄の記載例と誤りやすい点をご説明します。手続の全体像は別のページをご参照ください。

▶ 会社から「あなたは株主ではない」と言われたとき 株主であることを認めさせる手順と集めるべき証拠

本ページは、株主名簿名義書換請求書という一枚の書面の各欄をどう書くかに絞った書式の解説です。名義書換が対抗要件であることの意味、単独で請求することができる場合、会社が拒絶したときに採り得る手段及び各種の期限は株主名簿の名義書換請求とは 手続の全体像と会社が応じない場合の対応に一本化しています。

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この一枚をどう書くかで、会社の対応が変わります

株式を譲り受け、又は相続によって取得なさった方が、会社に対して「株主名簿の名義を書き換えてください」とお伝えになる書面が、株主名簿名義書換請求書です。ところが、この書面の書き方を誤りますと、会社から「記載が不十分である」「共同でされていない」として突き返され、あるいは受け取っただけで放置されるということが起こります。

本ページは、書式そのものの書き方に特化した頁です。宛先から署名欄まで、一欄ずつ、何をどう書くのか、その欄の根拠がどの条文にあるのかを申し上げます。名義書換の手続の全体像、会社が請求に応じない場合に何ができるかにつきましては、別の頁で扱っています。

名義書換に関する二つの頁の役割の違い

株式名義書換請求書のフォーマット

弁護士法人M&A総合法律事務所の株式名義書換請求書のフォーマットはメガバンクや大手M&A会社においても、頻繁に使用されています。
ここに弁護士法人M&A総合法律事務所の株式名義書換請求書のフォーマットを掲載しています。
M&Aや非上場株式・少数株式の譲渡を検討中の経営者の皆様でしたらご自由にご利用いただいて問題ありません。
ただし、M&A案件は個別具体的であり、このまま使用すると事故が起きる可能性もあり、実際のM&A案件の際には、弁護士法人M&A総合法律事務所にご相談頂くことを強くお勧めします。

株式名義書換請求書

株式会社〇〇〇〇 御中

年   月   日

下記の貴社株式につき会社法第133条第1項及び第2項の規定に基づき、共同して名義書換を請求します。

     記

株式の種類 普通株式

総株式数 〇〇〇〇株

株式を取得した日 20●●年●月●日

 株主
(現名義人)住所東京都〇〇区〇〇1ー23ー456 氏名〇 〇 〇 〇  印

株式取得者
(新名義人)住所東京都〇〇区〇〇7ー8ー910 氏名〇 〇 〇 〇 印

以上

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この書面は、いつ、誰が、誰に対して差し出す書面か

差出人 株式を取得した者(株式取得者)です。もっとも、後述のとおり、原則として株主名簿上の株主と共同して請求しなければなりませんので、差出人は二名連名となるのが通常です。

宛先 株式を発行した株式会社です。株主名簿管理人が置かれている場合には、その営業所宛てとなりますが、非上場の会社では株主名簿管理人が置かれていないことがほとんどですので、会社の本店宛てにいたします。

差し出す時期 株式を取得した後、直ちにです。譲渡制限株式の場合には、会社の承認(会社法第136条又は第137条第1項)を得た後に差し出すのが順序ですが、承認請求書と名義書換請求書とを同時に差し出しても差し支えありません。

根拠となる条文

この請求書の各欄は、株主名簿記載事項を定める会社法第121条(株主の氏名又は名称及び住所、株主の有する株式の数、株主が株式を取得した日、株券発行会社にあっては株券の番号)から導かれます。請求の根拠である会社法第133条第1項及び第2項(共同してする請求)、第134条(譲渡制限株式についての適用除外)並びに会社法施行規則第22条第1項(単独で請求することができる場合)の内容と、これらの条文が手続の全体においてどのような意味を持つかは、株主名簿の名義書換請求とは 手続の全体像と会社が応じない場合の対応に整理していますので、そちらをご覧ください。

各欄の書き方

 表題 「株主名簿名義書換請求書」

表題は、書面の性質が一見して分かるものといたします。「株式名義書換請求書」でも「株主名簿記載事項記載請求書」でも構いません。会社法第133条第1項の文言に忠実に書くのであれば「株主名簿記載事項の記載(記録)請求書」となりますが、実務では名義書換請求書という表現が定着しています。

 宛先 「株式会社〇〇〇〇 御中」

登記事項証明書のとおりの商号を、前株・後株の別まで正確に書き写します。「株式会社」を「(株)」と略してはなりません。株主名簿管理人が置かれている場合には、「株式会社〇〇〇〇 株主名簿管理人 〇〇銀行〇〇支店 御中」といたします。

誤るとどうなるか 商号を誤りますと、会社から「当社宛ての書面ではない」として返送される口実を与えます。実際にこれを理由に受領を拒まれた例があります。

 作成の年月日

請求書を作成した日を記載いたします。重要なのは作成日ではなく到達日ですので、配達証明付内容証明郵便により到達日を確定させてください。

 請求の趣旨と根拠条文の引用

フォーマットでは「下記の貴社株式につき会社法第133条第1項及び第2項の規定に基づき、共同して名義書換を請求します。」としています。「共同して」の一語が入っていることに意味があります。会社法第133条第2項の要件を満たしていることを、書面の上で明らかにするためです。

単独で請求する場合には、この文言を「会社法第133条第1項及び会社法施行規則第22条第1項第〇号の規定に基づき、単独で名義書換を請求します。」と書き換え、該当する号を明示いたします。

 対象株式の特定(株式の種類・総株式数)

会社法第121条第2号は、株主名簿記載事項として「株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)」を掲げています。したがいまして、請求書にも株式の種類と数を記載いたします。

  • 株式の種類 「普通株式」と明記いたします。種類株式発行会社では、「A種優先株式」等、定款上の名称をそのまま用います。
  • 株式の数 算用数字でも漢数字でも構いませんが、改ざんを防ぐため漢数字(壱、弐、参、拾)を用いるのが丁寧です。
  • 株券の番号 株券発行会社で株券が発行されている場合には、会社法第121条第4号が株券の番号を株主名簿記載事項としていますので、株券の番号も記載いたします。

誤るとどうなるか 株式の数を実際より多く書きますと、その全部について名義書換を拒まれるおそれがあります。少なく書きますと、書き換えられなかった部分について、改めて請求をやり直さなければなりません。

 取得の原因

フォーマットには取得の原因の欄がありませんが、実務上は必ず記載することをお勧めいたします。「令和〇年〇月〇日付株式譲渡契約による譲受け」「令和〇年〇月〇日相続」「令和〇年〇月〇日贈与」のように書きます。

理由は二つあります。第一に、会社が名義書換の可否を判断するために必要な情報だからです。第二に、単独請求が認められるかどうかは取得の原因によって決まる(会社法施行規則第22条第1項第4号の一般承継、第5号の競売等)からです。

 取得の年月日

会社法第121条第3号は、株主名簿記載事項として「株主が株式を取得した日」を掲げています。この日は株主名簿に記載される事項そのものですので、請求書に書かないわけにはまいりません。

譲渡による取得であれば譲渡の効力が生じた日、相続であれば被相続人が死亡した日です。株券発行会社の株式の譲渡の場合には、株券の交付を受けた日が取得の日となります(会社法第128条第1項本文)。

 請求者(株式取得者・新名義人)の氏名及び住所

会社法第121条第1号は、株主名簿記載事項として「株主の氏名又は名称及び住所」を掲げています。ここに書いた住所が、そのまま株主名簿に記載され、以後の株主総会の招集通知の宛先となります。

  • 住所 住民票のとおり、都道府県から番地・建物名・部屋番号まで省略せずに記載いたします。
  • 氏名 戸籍のとおりの表記といたします。旧字体の姓は旧字体で記載いたします。
  • 法人の場合 商号及び本店所在地を登記事項証明書のとおりに記載し、代表者の資格及び氏名を併記いたします。
  • 押印 実印により押印し、印鑑登録証明書を添付するのが確実です。

誤るとどうなるか 住所を誤りますと、株主総会の招集通知が届かないという事態が生じます。会社法第126条により、会社は株主名簿に記載された住所に宛てて通知を発すれば足りるとされていますので、住所の記載の誤りは、そのまま株主としての権利行使の機会の喪失につながります。

 共同請求者(現名義人・株主名簿上の株主)の署名欄

会社法第133条第2項により、名義書換の請求は、原則として株式取得者と、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人とが共同してしなければなりません。

したがいまして、請求書には現名義人の署名押印欄を設け、現名義人の住所及び氏名を記載していただき、押印を得ます。

現名義人が既に亡くなっている場合 条文は「その相続人その他の一般承継人」と共同してもよいと定めています(会社法第133条第2項)。相続人が複数あるときは、相続人全員の署名押印を得たうえで、戸籍謄本により相続人の範囲を明らかにいたします。相続人の一人でも欠けますと、共同請求の要件を満たしません。

誤るとどうなるか 現名義人の押印を欠いた請求書は、単独請求が認められる場合に当たらない限り、会社が受理を拒んでも違法とは言えません。「請求書は出したのに何もしてくれない」というご相談の相当数が、この要件を満たしていないことに起因しています。

 単独で請求する場合の添付書面

会社法施行規則第22条第1項は、共同してすることを要しない場合を定めています。いずれの号も、それを証する書面その他の資料を提供して請求をしたときという要件が付されています。すなわち、単独請求は、書面の添付とセットで初めて認められます。

  • 第1号 株主名簿上の株主又はその一般承継人に対し、名義書換の請求をすべきことを命ずる確定判決を得た場合。判決の内容を証する書面(判決正本及び確定証明書)を添付いたします。
  • 第2号 前号の確定判決と同一の効力を有するもの(和解調書、調停調書等)の内容を証する書面を添付した場合。
  • 第3号 株式取得者が指定買取人である場合において、譲渡等承認請求者に対して売買代金の全部を支払ったことを証する書面を添付した場合。
  • 第4号 一般承継(相続、合併等)により株式を取得した場合において、その一般承継を証する書面(戸籍謄本、遺産分割協議書、登記事項証明書等)を添付した場合。
  • 第5号 競売により取得した場合において、それを証する書面を添付した場合。
  • 第6号から第11号まで 株式売渡請求による全部取得、株式交換、株式移転、会社法第197条第1項による売却、株券喪失登録に係る場合、会社法第234条第2項による売却に係る場合。

なお、譲渡制限株式であっても、相続その他の一般承継により取得した者は、会社の承認を得ることなく名義書換を請求することができます(会社法第134条第4号)。相続の場面では、この点が特に重要です。

 「以上」及び捨印について

末尾に「以上」と記載して書面を締めます。捨印は押して差し支えありません。むしろ、押しておく方が望ましいといえます。捨印は、書面に軽微な誤記又は記載漏れがあった場合に、書面を作り直して差し出し直す手間と時間を要することなく、会社の側で訂正したうえで受理することができるようにするためのものです。手続の遅延を避けるという点で、請求をする側にとっても利益があります。もっとも、捨印による訂正は、誤記の訂正の範囲にとどまるものであり、請求の内容そのものを書き換える根拠とはなりません。株式の種類及び数、取得の年月日、請求者の氏名及び住所といった請求の内容に関わる事項を会社が一方的に書き換えることは、捨印があっても許されません。

記載を誤るとどうなるか まとめ

  • 共同請求の要件を欠く 会社は受理を拒むことができます。単独請求の要件に当たる場合には、その号を明示し、証する書面を添付し直します。
  • 対象株式の特定を欠く どの株式についての請求か定まらず、会社に放置の口実を与えます。
  • 取得の年月日の記載を欠く 株主名簿記載事項(会社法第121条第3号)が定まらず、会社が記載を保留する理由となります。
  • 住所の記載を誤る 招集通知が届かず、株主総会に出席する機会を失います(会社法第126条)。
  • 押印が認印であり印鑑登録証明書の添付がない 会社から本人性を争われる余地を残します。

書面の送り方、会社が応じない場合の対応及び期限

請求書は、請求をした事実、その内容及び到達の日を後日立証することができるよう、配達証明付内容証明郵便により差し出してください。会社が請求を放置した場合、共同請求者の押印がないとして返送した場合、株主名簿が存在しないと述べた場合等の典型的な対応と、それぞれについて採り得る手段、並びに基準日、株主総会の決議の取消しの訴えの3箇月、相続人等に対する売渡しの請求の1年、みなし承認の2週間といった期限は、株主名簿の名義書換請求とは 手続の全体像と会社が応じない場合の対応に一本化して整理していますので、そちらをご覧ください。

よくあるご質問

収入印紙は必要でしょうか

名義書換請求書は印紙税法上の課税文書には当たりませんので、収入印紙は不要です。

会社所定の用紙でなければ受け付けてもらえませんか

そのようなことはありません。会社法第133条第1項は請求の方式を定めていませんので、必要な事項が記載されていれば、書式は自由です。会社所定の用紙の交付を求めても応じてもらえない場合には、本ページのフォーマットを用いて差し支えありません。

相続の場合、遺産分割が済んでいなくても請求できますか

遺産分割前の株式は相続人の準共有となります。この場合には、権利を行使する者一人を定めて会社に通知する必要があります(会社法第106条)。もっとも、名義書換それ自体は、一般承継を証する書面(戸籍謄本等)を添えて単独で請求することができます(会社法施行規則第22条第1項第4号)。誰の名義とするかについては、遺産分割の見通しと併せてご相談ください。

会社が請求に応じない場合はどうすればよいですか

訴えの提起、株主たる地位の確認の訴え、仮処分といった手段があります。詳細は株主名簿の名義書換請求とは 手続の全体像と会社が応じない場合の対応をご覧ください。

おわりに

名義書換請求書は、一枚の紙です。しかしながら、その一枚に何が書かれているかによって、会社が応じざるを得なくなるか、それとも放置されるかが分かれます。共同請求の要件、対象株式の特定、取得の原因と年月日、そして添付書面。この四点を押さえていただければ、大半の差戻しは避けられます。

弁護士法人M&A総合法律事務所は、非上場株式の名義書換について、請求書の作成、会社との交渉、訴えの提起までを取り扱ってまいりました。書きかけの請求書でも構いませんので、そのままお持ちください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

株主名簿名義書換請求書の書き方に関するご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)

関連ページ

出典

  • 会社法(第106条、第121条、第124条、第125条、第126条、第128条、第130条、第133条、第134条、第136条、第137条、第139条、第145条、第176条)
  • 会社法施行規則(第22条第1項第1号から第11号まで)

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