会社から「あなたは株主ではない」と言われたとき 株主であることを認めさせる手順と集めるべき証拠

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株主であることを認めさせる手順に関するメインのページです。本ページは、少数株主として株式の売却を考える方に向けて、地位を争われた場合に集める証拠と進め方をご説明します。名義書換えの請求は別のページをご参照ください。
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株式の価値が見直される局面では、株主であること自体が争われます
国税庁は令和8年(2026年)4月20日から「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を開催し、昭和39年(1964年)公表の財産評価基本通達を60年ぶりに抜本的に見直す検討を進めています。非上場株式の価値の見方が、いま変わろうとしています。
株式に価値があると認められるようになるほど、会社の側には、株主の数を増やしたくないという動機が働きます。そして、その最も効果的な手段が、「あなたは株主ではありません」と否認することです。
価格の交渉に入る前に、株主であることそのものを争われてしまえば、議論は前に進みません。本記事では、会社から株主性を否認されたときに、どのようにしてこれを覆すのかを、手順と証拠に即して整理いたします。
【令和8年8月20日】第5回有識者会議で示された方向性
国税庁は第5回会合において「類似業種比準方式を存置することは困難ではないか」とし、会社規模による区分を廃止して「インカムアプローチによる評価を主軸とすべき」との方向性を示しました(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」資料・令和8年8月20日)。なお、内容も時期も確定したものではありません。
「株主名簿に名前がないのだから、株主ではない」という説明
会社からの説明は、多くの場合、次のようなものです。
- 「株主名簿にあなたの名前はありません」
- 「株券をお持ちでないのなら、株主とは認められません」
- 「お父様の名義のままですから、あなたは株主ではありません」
- 「当時は名義を借りただけで、実際の株主は先代です」
この説明は、一見すると筋が通っているように見えます。しかし、株主名簿の記載は、株主であることの唯一の決め手ではありません。
株式の譲渡は、株主名簿に記載又は記録をしなければ、会社その他の第三者に対抗することができません(会社法第130条)。これは「対抗要件」の定めであって、「株主となるための要件」の定めではありません。この違いが、本記事の出発点です。
数字が示すこと 株主性の否認は、大きな価値を失わせます
国税庁が第1回有識者会議(令和8年4月20日)に提出した資料によれば、類似業種比準価額の中央値は純資産価額の中央値の26%から27%程度にとどまり、類似業種比準価額が純資産価額の0.5倍未満である会社が77.6%に及びます。評価対象会社の82.4%は直前2期に配当をまったく支払っていません(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)」資料・令和8年4月20日)。
これらの数字は、非上場株式が長年にわたり実態より低く評価されてきたことを国の側から裏づけるものです。株主であることを否認されたまま引き下がることは、その価値のすべてを放棄することを意味いたします。
会社が株主性を否認してくる典型的な場面
相続が発生し、名義が被相続人のままである場合
最も多い類型です。株主名簿の名義が亡くなった方のままであるため、会社が相続人を株主として扱わないというものです。相続は一般承継ですので、株式は当然に相続人に承継されています。名義の問題と、権利の帰属の問題とは別です。
株券発行会社であるが、株券が見当たらない場合
株券発行会社では、株式の譲渡は株券の交付によって効力を生じます(会社法第128条第1項)。また、株券の占有者は適法な所持人と推定されます(会社法第131条第1項)。もっとも、相続による承継は譲渡ではありませんので、株券の交付を要しません。株券が見当たらないことをもって、直ちに株主でないということにはなりません。
いわゆる名義株であると主張される場合
「当時は名前を借りただけで、出資したのは先代である」という主張です。他人の名義を用いて株式が引き受けられた場合について、最高裁判所昭和42年11月17日判決は、名義人ではなく実質上の引受人が株主となると判断しています(出典 最高裁判所昭和42年11月17日判決)。
この判断は、会社側にとって有利にも、株主側にとって有利にも働きます。実際に出資をしたのが誰であったのかという事実が、決め手になるということです。払込みの記録が残っているかどうかが、決定的な意味を持ちます。
従業員持株会の名義になっている場合
持株会が民法上の組合として組成され、株式の名義が理事長となっている場合には、個々の会員は持分を有するにとどまります。持株会が解散し、又は退会した後に株式が個人名義に移されているかどうかを、必ずご確認ください。
そもそも株主名簿が作成されていない場合
中小の同族会社では、株主名簿が作成されていない、あるいは長年更新されていないことが珍しくありません。会社は株主名簿を作成し、本店等に備え置く義務を負っており、これに違反する場合には過料の制裁が定められています(会社法第121条、第125条、第976条)。会社が名簿を整えていないことは、会社側の落ち度であって、株主の不利益に帰せられるべきものではありません。
長年にわたり株主総会の招集通知が送られていない場合
会社は、株主に対する通知を、株主名簿に記載された住所に宛てて発すれば足りるとされています(会社法第126条)。裏を返せば、名簿の記載が古いままであれば、通知は届きません。
その結果、株主総会に一度も出席したことがなく、決議の内容も知らされていないという状態が続きます。招集通知が送られていないという事実は、株主でないことの証拠ではなく、むしろ会社の手続に問題があることを示す事情です。
名義株であるとの主張に対して、何を主張し、何を集めるか
名義株であるとの主張は、会社側から最も強く争われる類型です。会社は「出資したのは先代であり、名前を借りただけである」と述べます。この主張の当否は、次の5つの事実によって判断されます。
- 払込みの資金を誰が拠出したか。設立の際であれば当時の預金通帳の記載及び払込みの控え、増資の際であれば払込みの記録を確認いたします
- 名義を借りる合理的な理由が当時存在したか。設立に際して発起人の頭数を満たす必要があった時代の名義貸しが問題となる事案では、会社の設立の年月日と当時の法令とを照合いたします
- 配当金を誰が受領していたか。名義人の口座に入金され、名義人が自らの所得として申告していたのであれば、会社の主張と整合しません
- 株式の管理及び処分を誰が行ってきたか。増資の引受け、議決権の行使、株式の担保への提供の状況を確認いたします
- 相続税又は贈与税の申告において、当該株式が誰の財産として扱われてきたか。先代の相続税の申告書に当該株式が計上されていないのであれば、会社の主張と整合しません
実務上、決め手となるのは払込みの記録と申告の記録です。会社が名義株であると述べながら、先代の相続税の申告書に当該株式を計上していないという事案は、少なくありません。この不整合は、会社に対する書面による照会によって明らかにすることができます。
照会は、配達証明付内容証明郵便により、次の事項を特定して行います。会社が皆様を株主として取り扱わない理由、その根拠となる事実及び資料、株主名簿の作成の有無及び記載の内容、過去の配当の支払の有無及びその支払先です。会社が回答を避けた場合には、その経過自体が、後の株主たる地位の確認の訴えにおいて考慮される事情となります。
なお、名義株であるとの主張が認められれば、当該株式は先代の相続財産に属することとなり、他の相続人との間の遺産分割の問題に転化いたします。会社の主張は、会社にとってのみ有利に働くとは限りません。この点を指摘することにより、会社が主張を維持しなくなる事案があります。株主であることを争われている場合の当事務所の取扱いは、会社から「あなたは株主ではない」と言われてお困りの方へのご案内に整理しています。
株主であることを認めさせるための手順
株主名簿の閲覧謄写請求(会社法第125条)
まず、株主名簿に何が記載されているのかを確認いたします。株主は、会社の営業時間内はいつでも、請求の理由を明らかにして、株主名簿の閲覧又は謄写を請求することができます。
会社が拒絶できるのは、法律に定められた事由がある場合に限られます(会社法第125条第3項)。会社が理由を示さずに拒む場合には、その事実自体を記録に残してください。後の手続における重要な事情となります。
株主名簿記載事項の記載又は記録の請求(会社法第133条)
いわゆる名義書換の請求です。株式取得者は、会社に対して、株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求することができます。
譲渡制限株式については、原則として株式取得者と株主名簿上の株主とが共同して請求する必要がありますが、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者は、単独で請求することができます(会社法第134条第4号)。相続によって株式を取得された方にとって、決定的に重要な定めです。
請求は、配達証明付内容証明郵便によって行い、到達の事実を残してください。
会社が不当に拒絶した場合の取扱い
会社が正当な理由なく名義書換を拒絶した場合には、会社は、名義書換がされていないことを理由として、株式取得者を株主として取り扱わないことは許されないと解されています。したがって、拒絶の事実と、拒絶の理由として会社が述べた内容とを、正確に記録しておくことが重要です。
株主たる地位の確認の訴え
交渉によって解決しない場合には、裁判所に対し、原告が被告会社の株主であることの確認を求める訴えを提起いたします。あわせて、株主名簿への記載を求める請求を併合することもあります。
この訴えにおいては、株式を取得した原因事実(出資、譲渡、相続等)を主張し、これを証拠によって立証することが中心となります。株主名簿の記載は、有力な資料ではありますが、絶対的なものではありません。
仮の地位を定める仮処分
株主総会が迫っている、会社が株式併合等の手続を進めようとしているといった事情がある場合には、株主としての仮の地位を定める仮処分を申し立てることも考えられます。本案の判決を待っていては間に合わない場面があるためです。
相続によって承継した場合の特則
相続人が複数おられ、遺産分割が未了である場合、株式は相続人の共有に属します。この場合、共有者は、株式についての権利を行使する者1人を定め、会社に対してその氏名又は名称を通知しなければ、権利を行使することができません(会社法第106条本文)。ただし、会社が権利行使に同意した場合はこの限りではありません(同条ただし書)。
権利行使者の指定は、共有者の持分の価格に従い、その過半数によって決するものと解されています。遺産分割が調わないうちに手続を進める必要がある場合には、まずこの通知を済ませることが先決です。
争われている間も、時間は進みます
株主性を否認されたまま時間が経過することには、固有の危険があります。
- その間に開催された株主総会の決議について、決議の取消しの訴えは決議の日から3か月以内という期限が進行いたします(会社法第831条第1項)
- 株式併合や特別支配株主の株式等売渡請求といった、少数株主を締め出す手続が進められることがあります。これらの株式売買価格決定の申立てには、いずれも短い期間の制限があります
- 定款に相続人等に対する売渡しの請求の定めがある会社では、会社は相続その他の一般承継があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議を経て売渡しを請求することができます(会社法第175条、第176条)
「そのうち話し合えばよい」と考えているうちに、争う手段が失われていくことがあります。会社から株主性を否認された時点で、時期を意識した対応が必要です。
株主であることを確認する資料と、その証明力の強弱
会社との交渉に入る前に、まず、お手元にある資料が、株主であることをどの程度まで証明する力を持つのかを整理しておく必要があります。証明力の強いものから順に申し上げますと、次のとおりです。
株主名簿(会社法第121条、第125条) 証明力は最も強いものです
株主名簿には、株主の氏名又は名称及び住所、その株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては株式の種類及び種類ごとの数)、株式を取得した日、株券発行会社にあっては株券の番号が記載されます(会社法第121条)。株主は、会社の営業時間内はいつでも、請求の理由を明らかにして、その閲覧又は謄写を請求することができます(会社法第125条第2項)。
留意点 中小の同族会社では、株主名簿がそもそも作成されていない、又は事業承継の際に新株主の記載がされていないことが珍しくありません。会社が名簿を整えていないことは会社側の落ち度であって、株主の不利益に帰せられるべきものではありません。この場合には、会社に対して株主名簿の作成を求めたうえで閲覧謄写を請求するか、以下の資料によって立証を組み立てることになります。
株券(会社法第128条、第131条) 株券発行会社に限られます
株券の占有者は、適法な所持人と推定されます(会社法第131条第1項)。株主名簿には株券の番号が記載されていますので、提示された株券の真否を確かめる手段としても機能いたします。
留意点 株券を発行することが原則とされていたのは、平成18年5月1日の会社法の施行前に設立された会社です。現行の会社法では株券を発行しないことが原則であり、定款に定めた場合にのみ株券発行会社となります。まず、会社の登記事項証明書の「株券を発行する旨の定め」の欄をご確認ください。
株式の払込みを示す資料 名義が争われる事案では決め手になります
払込金の領収証、預金通帳の記載、振込みの控えです。他人の名義を用いて株式が引き受けられた場合には実質上の引受人が株主となると判断されていますので(最高裁判所昭和42年11月17日判決)、誰が実際に出資をしたのかを示す資料が、そのまま結論を左右いたします。
株式譲渡契約書 原始定款と結び付けられる場合に強い力を持ちます
証明力が高いのは、原始定款に記載された設立時の出資者から株式の譲渡を受けたときの契約書です。設立当時の出資者の氏名は原始定款とともに公証役場に記録されていますので、譲渡の履歴を遡って確認することができるためです。
留意点 公証人が保存する定款の保存期間は20年です(公証人法施行規則第27条)。設立から相当の年数が経過している場合には、株式譲渡契約書に記載された譲渡人を公証役場の記録と突き合わせることができません。
配当金の受領を示す資料 会社自身の取扱いを示す証拠となります
配当金領収証、支払明細書、配当金に係る支払調書又は源泉徴収の記録、預金通帳への入金の記録です。会社が配当を支払っていたという事実は、会社自身がその方を株主として取り扱っていたことを示すものであり、後に株主性を否認する主張との整合性が問われることになります。
株主総会の招集通知 補助的な資料にとどまります
過去に招集通知が送付されていた事実は、会社が株主として取り扱っていたことを推認させます。もっとも、招集通知に宛名を記載することは法律上求められておらず、「株主各位」とのみ記載して発送されている例が少なくありません。その場合には、当該書面と株主であることを主張される方とを結び付けることができませんので、これのみで株主であることを証明することはできません。
同族会社等の判定に関する明細書 証明力は乏しいものです
法人税の確定申告書に添付される別表です。もっとも、これは筆頭株主のグループの関係を判定するための書面であり、少数株主の記載が省略されている例が多く、株主名簿を確認しないまま作成されている例も見受けられます。単独で株主であることの合理的な根拠とすることはできず、他の資料を補強するものと位置付けるべきです。
表明及び保証の条項 これから株式を取得される場合の予防手段です
これは既に株主であることを証明する資料ではありません。株式譲渡契約書に表明及び保証の条項を設け、譲渡人が対象株式の株主であることを表明させたうえで、表明した内容が事実と異なっていた場合の補償を定めておくものです。将来の紛争を防ぐための手段として位置付けられます。
株主たる地位の確認の訴えにおいて重視される事実
裁判所は、株主名簿の記載のみによって判断するのではなく、次の事実を総合して株主であるか否かを判断しています。
- 株主総会における議決権の行使の状況
- 利益の配当金の受領の状況
- 株式の取得資金の実際の拠出の状況
(出典 東京地方裁判所昭和57年3月30日判決)
すなわち、書面が完全にそろっていないとしても、株主として取り扱われてきた事実の積み重ねによって、株主であることを認めさせることは可能です。
証拠として何を集めるか
株主であることの立証は、書類の積み重ねによって行います。次のものを、可能な限りお集めください。
- 株券 株券発行会社の場合。表面の記載と裏書の有無を確認いたします
- 出資の払込みを示す資料 払込金の領収証、預金通帳の記載、振込みの控え。名義株が争われる事案では、これが決め手となります
- 配当金の受領を示す資料 配当金領収証、支払明細、預金通帳への入金記録。会社が配当を支払っていたという事実は、会社自身が株主として扱っていたことの証拠です
- 株主総会の招集通知 過去に送付されていれば、会社が株主として扱っていた証拠になります
- 議決権行使書面又は委任状の控え
- 相続関係を示す資料 被相続人の出生から死亡までの戸籍、遺産分割協議書、遺言書、相続財産の目録
- 相続税の申告書及びその添付資料 当該株式が相続財産として申告されていれば、株式の帰属を示す有力な資料となります
- 会社の登記事項証明書 株券発行会社かどうか、譲渡制限の定めの有無、発行済株式総数、役員構成
- 定款 譲渡承認の機関、相続人等に対する売渡しの請求の定めの有無
- 会社との往復書面 会社が「株主ではない」と述べた書面は、必ず保管してください
証拠は、集められるうちに集めておくことが肝要です。争いが表面化した後では、会社の協力を得ることが難しくなります。
会社が株主性を争う理由
会社の側の事情を、率直に申し上げます。
第一に、株主でないとされれば、価格の議論に入らずに済むからです。株主であることが確定すれば、会計帳簿の閲覧謄写請求も、株式譲渡承認請求も、株式売買価格決定の申立ても可能になります。会社としては、その入口で止めたいのです。
第二に、株式買取代金は会社の資金から支払われるからです。同族会社においては、少数株主に支払わずに済めば、それだけ経営者一族の支配する資金が会社に残ります。
第三に、1人を株主と認めれば、他の相続人や元従業員にも波及するからです。だからこそ、最初の1人に対して強く出てきます。
そして、評価ルールの見直しが進めば、株式の評価額は上昇する可能性があります。会社が株主の整理を急いでいるとすれば、それ自体が、その株式に相応の価値があることの現れです。
いま確認していただきたいこと
会社の登記事項証明書を取得してください
株券発行会社かどうか、株式に譲渡制限の定めがあるかどうか、発行済株式総数はいくつか。これらは、どの手続を用いるかを決める前提事実です。登記事項証明書は誰でも取得することができます。
配当金の受領記録を探してください
過去に配当を受け取っていた記録があれば、会社が皆様を株主として扱っていたことの直接の証拠になります。預金通帳、支払明細、確定申告の控え等をご確認ください。
相続税の申告書を確認してください
当該株式が相続財産として申告されているのであれば、株式の帰属について会社側が異なる主張をすることは、容易ではなくなります。申告書及び評価明細書の控えをお探しください。
会社からの回答は、必ず書面で受け取ってください
「あなたは株主ではない」という会社の説明は、口頭で行われることがほとんどです。書面での回答を求め、応じない場合には、こちらから書面で照会し、その控えと配達証明を保管してください。会社が回答を避けたという事実も、後の手続において意味を持ちます。
よくあるご質問
父が亡くなり株式を相続しましたが、名義が父のままです。株主として扱ってもらえますか
相続は一般承継ですので、株式は相続によって当然に承継されています。相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者は、単独で株主名簿記載事項の記載を請求することができます(会社法第134条第4号)。会社が応じない場合には、株主たる地位の確認の訴え等を検討いたします。
株券が見つかりません。それでも株主といえますか
株券発行会社であっても、相続による承継は譲渡ではありませんので、株券の交付を要しません。株券が見当たらないことをもって、直ちに株主でないということにはなりません。もっとも、その後の手続で株券の提出や供託が求められる場面がありますので、株券の発行を求めるか、喪失の手続を検討する必要があります。
会社が「名義を借りていただけだ」と言っています。どう反論すればよいですか
他人の名義を用いて株式が引き受けられた場合には、実質上の引受人が株主となると判断した最高裁判所の判決があります(最高裁判所昭和42年11月17日判決)。したがって、誰が実際に払込みをしたのかという事実が決め手になります。払込みの記録、配当の受領記録、過去に招集通知が送られていた事実等を積み上げて反論いたします。
株主であることが認められた後は、どう進めるのですか
まず会社の財務内容を把握いたします。計算書類等の閲覧謄写請求は持株数の要件なく行うことができ(会社法第442条)、議決権又は発行済株式の3%以上を保有していれば会計帳簿の閲覧謄写請求も可能です(会社法第433条)。そのうえで、株式譲渡承認請求と株式売買価格決定の申立てへと進みます。
おわりに
「あなたは株主ではありません」。この一言で、多くの方が引き下がってしまわれます。会社の側は、そのことをよく知っています。
しかし、株主名簿の記載は対抗要件であって、株主となるための要件ではありません。相続によって株式を取得された方は単独で名義書換を請求することができますし、名義が争われる事案では、実際に出資をしたのが誰であったかという事実が決め手になります。株主名簿が整えられていないとすれば、それは会社側の落ち度です。
そして、いま非上場株式の評価は見直しの局面にあります。国税庁自身が、現行の評価が純資産価額の3割弱にとどまることを公表いたしました。株主であることを否認されたまま引き下がることは、その価値のすべてを手放すことを意味いたします。
弁護士法人M&A総合法律事務所は、非上場株式の少数株主の皆様の側に立って、株主たる地位の確認、会社に対する株式買取請求、価格の交渉を取り扱ってまいりました。お手元に何が残っているのか。まずはお聞かせください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。
会社から「あなたは株主ではない」と言われている方のご相談
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出典
- 会社法(第106条、第121条、第125条、第126条、第128条、第130条、第131条、第133条、第134条、第175条、第176条、第433条、第442条、第831条、第976条)
- 最高裁判所昭和42年11月17日判決(他人の名義を用いて株式が引き受けられた場合の株主の認定)
- 東京地方裁判所昭和57年3月30日判決(株主たる地位の確認において考慮される事実)
- 公証人法施行規則(第27条)
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