株式の併合によって1株に満たない端数とされるとき 反対株主の株式買取請求権の行使の手順と期限

この記事の位置付け
株式の併合に反対する場合の買取請求に関するメインのページです。本ページは、少数株主として株式の売却を考える方に向けて、端数とされる株式についての行使の手順と期限をご説明します。定款の変更の場面は別のページをご参照ください。
▶ 株式買取請求権とは 少数株主が非上場株式を売る手続きと注意点
同じ主題を扱う関連ページ
- 「株式を1000株につき1株に併合します」と知らされた株主の皆様へ
- 株式買取請求をすることができるのは「端数となる株式」に限られます
- 誰が「反対株主」にあたるのか
- 手続の流れと、日を単位とした期限
- 価格の協議と、裁判所に対する価格の決定の申立て
- 株式買取請求をしなかった場合 端数はどのように処理されるのか
- 「公正な価格」はどのように定まるのか
- 株式の併合そのものを争う手段
- いま、非上場株式の評価は見直しの局面にあります
- 実務上、株主が失敗しがちな点
- 反対株主の株式買取請求権(株式併合(スクイーズアウト)に反対の場合)の行使の方法
- 反対株主株式買取請求権(株式併合(スクイーズアウト))の行使の実務上のポイント
- 反対株主の株式買取請求権(株式併合(スクイーズアウト))の行使の流れ(フロー)
- よくあるご質問
- おわりに
- 関連ページ
- 出典
「株式を1000株につき1株に併合します」と知らされた株主の皆様へ
株主総会の招集通知が届き、議案に「株式の併合の件」と記されている。併合の割合を確かめると、ご自身の保有株式数では併合後に1株に満たなくなる。これは、株式の併合を用いて少数株主を会社から締め出す手続(いわゆるスクイーズアウト)が始まったことを意味いたします。
株式の併合によって1株に満たない端数が生ずる場合、反対株主は、会社に対し、自己の有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができます(会社法第182条の4第1項)。何もしなければ、端数は会社の側で処理され、その処理によって得られた代金が交付されるにとどまります。
株式買取請求をすることができる期間は20日間しかなく、事前の反対の通知を欠けば権利が生じません。本記事では、株式の併合により端数が生ずる場合に限り、その手順と期限を整理いたします。
この記事の位置付け
反対株主の株式買取請求権は、場面ごとに根拠となる条文が異なり、期間の起算点も異なります。条文を取り違えますと、期間の計算を誤ります。ご自身の置かれている場面に応じて、次の各記事をご覧ください。
- 株式の併合により1株に満たない端数が生ずる場合(会社法第182条の4、第182条の5)……本記事
- 定款の変更により株式に譲渡制限の定めを設ける場合(会社法第116条、第117条)……株式買取請求権(定款の変更による譲渡制限の導入)の記事
- 合併、会社分割、株式交換、株式移転、株式交付の場合(会社法第785条、第797条、第806条、第816条の6等)……株式買取請求権(組織再編)の記事
本記事は、手続と期限を解説するものです。弁護士に代理を依頼する場合の進め方、取扱いの範囲及び費用につきましては、反対株主の株式買取請求権に関するご相談のご案内をご覧ください。
株式買取請求をすることができるのは「端数となる株式」に限られます
会社法第182条の4第1項は、「株式会社が株式の併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生ずる場合には、反対株主は、当該株式会社に対し、自己の有する株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる」と定めています。
ここから、次の二点が導かれます。いずれも見落とされやすい点です。
- 併合後も1株以上が残る株主は、この規定による株式買取請求をすることができません。例えば1000株を1株に併合する場合、1500株を有する株主は、併合後に1.5株となり、1株は残りますので、株式買取請求の対象となるのは0.5株分に相当する部分のみです。
- 株式買取請求の対象は「端数となるものの全部」です。一部のみを請求するという扱いは予定されていません。
(出典 会社法第182条の4第1項)
会社の側の手続 株主総会の特別決議によります
会社は、株式の併合をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、併合の割合、株式の併合がその効力を生ずる日(効力発生日)、種類株式発行会社である場合には併合する株式の種類、効力発生日における発行可能株式総数を定めなければなりません(会社法第180条第2項)。この決議は特別決議です(会社法第309条第2項第4号)。
また、取締役は、当該株主総会において、株式の併合をすることを必要とする理由を説明しなければなりません(会社法第180条第4項)。この説明を求め、その内容を記録に残すことは、後に価格を争う際の重要な資料となります。
事前開示書面を必ずご確認ください
株式の併合をする会社は、一定の事項を記載した書面又は電磁的記録を本店に備え置かなければなりません(会社法第182条の2第1項)。備置きの期間は、株主総会の日の2週間前の日と、株主に対する通知の日又は公告の日のいずれか早い日とのうち、いずれか早い日から、効力発生日後6か月を経過する日までです。
株主は、会社の営業時間内はいつでも、この書面の閲覧又は謄本若しくは抄本の交付を請求することができます(会社法第182条の2第2項)。ここには、端数の処理の方法及びその処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額並びにその算定根拠が記載されます。会社が株式の価値をいくらと見ているのかを知る、最も直接的な資料です。
誰が「反対株主」にあたるのか
会社法第182条の4第2項は、「反対株主」を次のとおり定めています。ここを読み誤ることが、最も多い失敗です。
議決権を行使することができる株主の場合 二段階の反対が必要です
当該株主総会において議決権を行使することができる株主は、次の二つをいずれも満たさなければ、反対株主となりません(会社法第182条の4第2項第1号)。
- 会社法第180条第2項の株主総会に先立って、当該株式の併合に反対する旨を会社に対して通知すること
- 当該株主総会において、当該株式の併合に反対すること
すなわち、株主総会の当日に反対の議決権を行使しただけでは足りません。逆に、事前に反対を通知していても、株主総会を欠席し、又は賛成した場合には、反対株主となりません。
議決権を行使することができない株主の場合 事前の通知も反対も要しません
当該株主総会において議決権を行使することができない株主は、事前の反対の通知をすることなく、また、株主総会において反対することなく、反対株主となります(会社法第182条の4第2項第2号)。
事前の反対の通知は、必ず書面により、到達の証拠を残して行ってください。議決権行使書面に「反対」と記載して返送しただけでは、会社法第182条の4第2項第1号にいう「株主総会に先立って反対する旨を通知した」ことにあたらないと判断される危険があります。配達証明付内容証明郵便により、株主総会の日より前に到達させることをお勧めいたします。
手続の流れと、日を単位とした期限
(1) 会社からの通知又は公告 効力発生日の20日前まで
会社は、効力発生日の2週間前までに、株主及びその登録株式質権者に対し、会社法第180条第2項各号に掲げる事項を通知しなければならないとされています(会社法第181条第1項)。もっとも、株式の併合により1株に満たない端数が生ずる場合には、この「2週間」が「20日」と読み替えられます(会社法第182条の4第3項)。
したがって、通知は効力発生日の20日前までにされなければなりません。この通知は、公告をもって代えることができます(会社法第181条第2項)。
(2) 株式買取請求をすることができる期間 効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日まで
株式買取請求は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間にしなければなりません(会社法第182条の4第4項)。与えられている期間は20日間です。
例えば、効力発生日が令和8年11月1日と定められた場合には、次のとおりとなります。
- 会社からの通知又は公告 令和8年10月12日まで
- 株式買取請求をすることができる期間 令和8年10月12日から同月31日までの20日間
- 令和8年11月1日以後にされた株式買取請求は、期間の経過後のものとして効力を有しません
(3) 株式の数を明らかにして請求すること
株式買取請求は、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければなりません(会社法第182条の4第4項)。必ず具体的な株式数を数字で記載してください。なお、株式買取請求の対象は1株に満たない端数となるものの全部ですので、ご自身の保有株式数と併合の割合とを照らし合わせ、どの範囲が端数となるのかを正確に確認したうえで記載する必要があります。
(4) 株券発行会社の場合 株券の提出
株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければなりません(会社法第182条の4第5項本文)。ただし、当該株券について会社法第223条の規定による株券喪失登録の請求をした者については、この限りではありません(同項ただし書)。
会社が株券発行会社であるかどうかは、会社の登記事項証明書の「株券を発行する旨の定め」の欄により確認することができます。
(5) 株式買取請求の撤回は、原則としてできません
株式買取請求をした株主は、会社の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができます(会社法第182条の4第6項)。
いったん株式買取請求をいたしますと、提示された価格に不満があっても、株主の側から一方的に取り下げることはできません。会社が承諾しない限り、価格の決定の手続を最後まで追行するほかありません。したがって、株式買取請求は、価格が争いとなったときに手続を追行する用意をもって行うべきものであり、安易に行うべきものではありません。なお、効力発生日から60日以内に価格の決定の申立てがない場合には、その期間の満了後は、株主はいつでも株式買取請求を撤回することができます(会社法第182条の5第3項)。
価格の協議と、裁判所に対する価格の決定の申立て
(1) 協議が調った場合 効力発生日から60日以内の支払
非上場株式の価格の決定について株主と会社との間に協議が調ったときは、会社は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければなりません(会社法第182条の5第1項)。
(2) 協議が調わない場合 効力発生日から30日以内の協議と、その満了の日後30日以内の申立て
効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は会社は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができます(会社法第182条の5第2項)。
すなわち、申立てをすることができるのは、効力発生日から起算しておおむね30日目から60日目までの間です。この期間を徒過いたしますと、価格を裁判所に決定してもらう手段が失われます。期間の計算は民法の定めるところによりますので、実際の満了日は暦に当てはめて必ずご確認ください。
申立ての管轄は、会社の本店の所在地を管轄する地方裁判所です(会社法第868条第1項)。
(3) 法定利率による利息と、公正な価格と認める額の支払
会社は、裁判所の決定した価格に対する会社法第182条の5第1項の期間(効力発生日から60日)の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければなりません(会社法第182条の5第4項)。
また、会社は、非上場株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該会社が公正な価格と認める額を支払うことができます(会社法第182条の5第5項)。これはいわゆる仮払の制度であり、会社がこれを行うのは、利息の発生を止めることを目的とする場合が少なくありません。仮払を受けたことは、その額を公正な価格として承認したことを意味するものではありません。
(4) 買取りの効力が生ずる時期
株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生じます(会社法第182条の5第6項)。株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに代金を支払わなければなりません(同条第7項)。
株式買取請求をしなかった場合 端数はどのように処理されるのか
株式買取請求をしない場合、1株に満たない端数は、会社法第235条の定めるところにより処理されます。すなわち、端数の合計数に相当する数の株式を競売し、その代金を端数に応じて株主に交付するという扱いです(会社法第235条第1項)。市場価格のない株式については、裁判所の許可を得て、競売以外の方法によりこれを売却することができます(会社法第235条第2項、第234条第2項)。
さらに、会社は、この方法により売却する株式の全部又は一部を自ら買い取ることができます(会社法第235条第2項、第234条第4項)。実際の同族会社においては、裁判所の許可を得たうえで、会社又は支配株主の側がこれを取得する例が少なくありません。その場合の価格は、会社の側が裁判所に申し立てた価格を基礎とするものとなります。すなわち、株式買取請求をしないという選択は、価格の決定を会社の側に委ねるということを意味いたします。
「公正な価格」はどのように定まるのか
会社法は、買取りの価格を「公正な価格」と定めるのみで、その算定の方法を定めていません。裁判所は、事案に応じて、純資産価額法、収益還元法、配当還元法、類似会社比準法等を用い、又はこれらを併用して価格を決定しています。
株式の併合が少数株主を締め出すことのみを目的として行われる場合には、これによって企業価値が増加することは通常想定されません。したがって、当該株式の併合がされなかったとしたならば株式が有していたであろう価格(いわゆるナカリセバ価格)が基準になるものと解されています。
非上場株式について、市場性がないことを理由とする減価は認められていません
最高裁判所平成27年3月26日決定は、非上場会社の株式について、収益還元法を用いて株式買取請求に係る非上場株式の価格を決定する場合に、非流動性ディスカウント(市場性がないことを理由とする減価)を行うことはできないと判断いたしました(出典 最高裁判所平成27年3月26日決定・金融・商事判例1466号8頁)。会社の側からされる「非上場株式であって流動性がないのであるから割り引くべきである」との主張は、この場面では認められません。
手続の公正さが問われます
最高裁判所平成28年7月1日決定は、多数株主が株式を取得する場面について、一般に公正と認められる手続により公開買付けが行われ、その後に公開買付価格と同額で株式が取得された場合には、特段の事情がない限り、裁判所はその価格をもって取得の価格とすべきであるとの考え方を示しました(出典 最高裁判所平成28年7月1日決定・民集70巻6号1445頁)。
同決定は全部取得条項付種類株式の取得価格の決定に関するものであり、また、上場会社の公開買付けを前提とするものです。もっとも、その裏を返せば、独立した第三者による価格の算定を経ていない、少数株主に情報が開示されていない、取締役が利害関係を有したまま価格を決めているといった事情がある場合には、会社の提示する価格が尊重される理由はないということになります(推定)。非上場会社の株式の併合においては、まさにこの点が争点となります。
株式の併合そのものを争う手段
- 株式の併合をやめることの請求 株式の併合が法令又は定款に違反する場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株主は、会社に対し、当該株式の併合をやめることを請求することができます(会社法第182条の3)。
- 株主総会の決議の取消しの訴え 招集の手続又は決議の方法に法令若しくは定款の違反があるとき等は、決議の取消しの訴えを提起することができます。提訴の期間は決議の日から3か月以内です(会社法第831条第1項)。
- 事前開示書面の閲覧謄写 端数の処理の方法及び株主に交付されることが見込まれる金銭の額の算定根拠を確認いたします(会社法第182条の2)。
これらの手段と、株式買取請求とは、期間が並行して進行いたします。いずれを採るかを早期に判断する必要があります。
いま、非上場株式の評価は見直しの局面にあります
国税庁は令和8年(2026年)4月20日から「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」を開催し、昭和39年(1964年)公表の財産評価基本通達の抜本的な見直しを検討しています。
第1回会議(令和8年4月20日)に提出された資料によりますと、類似業種比準価額の中央値は純資産価額の中央値の26%から27%程度にとどまり、類似業種比準価額が純資産価額の0.5倍未満である会社が77.6%に及びます。評価対象会社の82.4%は直前2期に配当をまったく支払っていません(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)」資料・令和8年4月20日)。
【令和8年8月20日】第5回有識者会議で示された方向性
国税庁は第5回会合において「類似業種比準方式を存置することは困難ではないか」とし、会社規模による区分を廃止して「インカムアプローチによる評価を主軸とすべき」との方向性を示しました(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」資料・令和8年8月20日)。なお、内容も時期も確定したものではありません。
株式の併合による締出しが提案される局面は、会社の側がその株式に価値があると考えている局面でもあります。提示された端数の処理価格が低いと感じられた場合には、その感覚を軽んじるべきではありません。
実務上、株主が失敗しがちな点
- 事前の反対の通知を失念する 株主総会の当日に反対しただけでは、反対株主となりません(会社法第182条の4第2項第1号)。
- 議決権行使書面への「反対」の記載のみで済ませる これが「株主総会に先立つ反対の通知」にあたらないと判断される危険があります。
- 通知の到達を証明することができない 配達証明付内容証明郵便によってください。
- 株式買取請求の期間を徒過する 効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの20日間に限られます(会社法第182条の4第4項)。
- 請求書面に株式の数を記載しない 株式の数を明らかにしていない請求は、要件を欠くものとして争われます(会社法第182条の4第4項)。
- 端数とならない部分についてまで請求してしまう 株式買取請求の対象は1株に満たない端数となるものの全部です(会社法第182条の4第1項)。併合後に1株以上が残る場合には、その部分は対象となりません。
- 公告を見落とす 会社は通知に代えて公告をすることができます(会社法第181条第2項)。
- 事前開示書面を確認しない 会社が株式の価値をいくらと見ているのかを知る最も直接的な資料です(会社法第182条の2)。
- 価格の決定の申立ての期間を徒過する 効力発生日から30日の協議期間が満了した日の後30日以内です(会社法第182条の5第2項)。会社との協議を続けているうちに期間が満了してしまう例が、最も多く見受けられます。
- 安易に株式買取請求をしてしまう 会社の承諾がなければ撤回することができません(会社法第182条の4第6項)。
反対株主の株式買取請求権(株式併合(スクイーズアウト)に反対の場合)の行使の方法
非上場株式・少数株式の反対株主は、株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができます。
この非上場株式・少数株式の反対株主の株式買取請求権を行使できる場合は、以下のような場合です。
- 株式譲渡制限導入定款変更(会社法116条)
- 株式無償割り当て(会社法116条)
- 株式を引き受ける者の募集(会社法116条)
- スクイーズアウト株式併合(会社法182条の4)
- 事業譲渡・重要子会社売却(会社法469条)
- 合併・会社分割・株式交換・株式移転(会社法785条・797条・806条)
⇒非上場株式・少数株式の株式買取請求権での売却でお困りの方はこちら!
反対株主株式買取請求権(株式併合(スクイーズアウト))の行使の実務上のポイント
なお、非上場株式・少数株式の株式譲渡承認請求・株式買取請求(スクイーズアウト株式併合)の流れ(フロー)において、特に注意すべき実務上のポイントは、以下のとおりです。
① 反対株主は2回の反対(株主総会に先立つ反対通知と株主総会における反対票の投票)が必要である点
② 委任状に反対と表示して提出しただけでは反対通知にならない可能性がある点
③ 株主総会における反対の投票のみでは足りず、別途、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、株式の数を明らかにして株式買取請求をしなければならない点
④ 株価決定申立はたいてい和解になるため必ずしも満額は取られないという点
反対株主の株式買取請求権(株式併合(スクイーズアウト))の行使の流れ(フロー)
非上場株式・少数株式の株式譲渡承認請求・株式買取請求(スクイーズアウト株式併合)の流れ(フロー)は、以下のとおりです。

会社法第182条の4第2項
「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主(株主総会に先立って当該行為に反対する旨を当該株式会社に対し通知し、かつ、②当該株主総会において当該行為に反対した株主)をいう。
会社法第182条の4第3項
株式会社は、効力発生日の20日前までに、株主に対し、当該行為をする旨を通知(又は公告)しなければならない。


会社法第182条の4第4項
株式買取請求は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数を明らかにしてしなければならない。4【会社法第182条の4第5項】
株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、株式会社に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。

会社法第182条の5第1項2項
株式買取請求があった場合において、非上場株式の価格の決定について、株主と株式会社との間に協議が調ったときは、株式会社は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。
非上場株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は株式会社は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、株価決定申立をすることができる。

会社法第182条の5第4項5項7項
株式会社は、裁判所の決定した価格に対する第一項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
株式会社は、非上場株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該株式会社が公正な価格と認める額を支払うことができる。
株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。

会社法第182条の5第6項
株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
⇒非上場株式・少数株式の株式買取請求権での売却でお困りの方はこちら!
よくあるご質問
1000株を1株に併合すると通知されました。私は800株しか有していません。どうなりますか
併合後は0.8株となり、1株に満たない端数のみが生じます。したがって、ご自身の有する株式の全部が株式買取請求の対象となります(会社法第182条の4第1項)。株主総会に先立って反対する旨を書面で通知し、株主総会において反対したうえで、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、株式の数を明らかにして株式買取請求をしてください。
併合後も1株以上が残ります。株式買取請求はできますか
会社法第182条の4第1項による株式買取請求の対象は、1株に満たない端数となるものに限られます。1株以上が残る部分については、この規定による株式買取請求をすることができません。その場合には、株式譲渡承認請求と株式売買価格決定の申立てによる売却等、別の手段を検討することになります。
議決権のない種類株式を有しています。事前の反対の通知は必要ですか
必要ありません。当該株主総会において議決権を行使することができない株主は、事前の通知も株主総会における反対も要せず、反対株主となります(会社法第182条の4第2項第2号)。ただし、株式買取請求の期間の制限は同じです。
株式買取請求をした後に、やはり取り下げたいと考えるようになりました
会社の承諾を得た場合に限り、撤回することができます(会社法第182条の4第6項)。会社が承諾しない限り、撤回はできません。例外として、効力発生日から60日以内に価格の決定の申立てがない場合には、その期間の満了後はいつでも撤回することができます(会社法第182条の5第3項)。
会社が提示した端数処理の価格が、あまりに低いと感じます
まず、事前開示書面(会社法第182条の2)により、端数の処理の方法と、株主に交付されることが見込まれる金銭の額の算定根拠を確認してください。そのうえで、株式買取請求を行い、協議が調わない場合には、効力発生日から30日の協議期間が満了した日の後30日以内に、裁判所に対して価格の決定の申立てをいたします(会社法第182条の5第2項)。
株式の併合そのものを止めることはできますか
株式の併合が法令又は定款に違反する場合において、株主が不利益を受けるおそれがあるときは、会社に対し、当該株式の併合をやめることを請求することができます(会社法第182条の3)。また、株主総会の決議の方法等に瑕疵があるときは、決議の日から3か月以内に決議の取消しの訴えを提起することが考えられます(会社法第831条第1項)。
おわりに
株式の併合による締出しは、株主総会の特別決議さえ得られれば進んでしまう手続です。1株に満たない端数となる皆様に残されているのは、公正な価格で買い取らせるという一度きりの機会です。
期間は20日間しかなく、事前の反対の通知を欠けば権利は生じません。株式の数を書き落とせば、請求の効力が争われます。そして、いったん請求をすれば、会社の承諾なくして撤回することはできません。だからこそ、招集通知をご覧になった段階で、直ちに手順を組み立てる必要があります。
弁護士法人M&A総合法律事務所は、非上場株式の少数株主の皆様の側に立って、反対の通知、株式買取請求、価格の協議及び裁判所に対する価格の決定の申立てを取り扱ってまいりました。お手元の招集通知、事前開示書面及び会社の登記事項証明書をご用意のうえ、お早めにご相談ください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。
株式の併合による締出しに関するご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)
関連ページ
- ▶ 株式買取請求権(定款の変更による株式譲渡制限の導入)の流れ
- ▶ 株式買取請求権(合併・会社分割・株式交換・株式移転・株式交付)の流れ
- ▶ 株式買取請求権の公正な価格とは
- ▶ 株式買取請求権を行使できずに終わる8つの失敗
- ▶ スクイーズアウトを仕掛けられ締め出されそうでお困りではありませんか
- ▶ 提示された株式売買価格が低すぎてお困りではありませんか
- ▶ 非上場株式・少数株式を売りたい方々へ
- ▶ 反対株主の株式買取請求権の行使でお困りの皆様へ
出典
- 会社法(第180条、第181条、第182条の2、第182条の3、第182条の4、第182条の5、第223条、第234条、第235条、第309条第2項第4号、第831条第1項、第868条第1項)
- 最高裁判所平成27年3月26日決定(金融・商事判例1466号8頁。非上場会社の株式買取請求における非流動性ディスカウントの可否)
- 最高裁判所平成28年7月1日決定(民集70巻6号1445頁。全部取得条項付種類株式の取得価格の決定と、一般に公正と認められる手続)
- 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)」資料(令和8年4月20日)
- 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」資料(令和8年8月20日)
具体的なご相談をお考えの株主の皆様へ
本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次のご案内のページに整理しています。あわせてご覧ください。




