非上場株式の相続税評価が60年ぶり見直しへ 少数株主の株式はこれまで低く評価されすぎていた

目次
  1. 60年ぶりに、非上場株式の値段の付け方が変わります
  2. 【追記】第5回有識者会議(令和8年8月20日)で示された方向性
    1.  類似業種比準方式の存置は「困難ではないか」とされました
    2.  残余利益方式の計算構造が具体的に示されました
    3.  純資産価額方式は「特定の評価会社」用に位置づけ直されます
    4.  配当還元方式は「廃止」ではなく「範囲を見直したうえで存置」です
    5.  評価額を圧縮する手法への対応
    6.  第4回会合(令和8年7月3日)で示された論点
  3. なぜこの記事を、少数株主の皆様にお読みいただきたいのか
  4. 何が変わるのか 3つの方式から「残余利益方式」へ
    1. 現行のルール
    2. 新ルール案
  5. 評価額はどれだけ上がるのか
  6. なぜ上がるのか これまでの評価が「低すぎた」からです
  7. 国税当局は、すでに「低すぎる評価」を否認し始めています
  8. 新しい評価方法は、M&Aの株価算定に近づきます
  9. 少数株主の皆様にとって、何を意味するのか
    1. 第一に、皆様の株式は、聞かされてきた金額よりはるかに高額です
    2. 第二に、配当還元方式の見直しも議論されています
    3. 第三に、安易な買取提案に応じてはなりません
  10. 会社側にとっても、いま買い取る方が得策です
  11. 少数株主の皆様が、いま着手すべきこと
    1.  会社の財務内容を把握する
    2.  株式譲渡承認請求を行う
    3.  価格算定の主張を組み立てる
  12. 留保事項
  13. よくある御質問
    1. 相続税評価額が上がれば、会社が買い取る価格も上がるのですか
    2. 私は数パーセントしか持っていません。それでも意味がありますか
    3. 相続で取得した株式ですが、会社と面識がありません
    4. いま動くべきですか、それとも新ルールの確定を待つべきですか
  14. おわりに
  15. 関連ページ
  16. 出典

60年ぶりに、非上場株式の値段の付け方が変わります

国税庁が、非上場株式(取引相場のない株式)の相続税評価のルールを、抜本的に見直す検討に入りました。令和8年(2026年)4月20日に「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」の第1回会合が開かれ、5月11日に第2回、6月4日に第3回の会合が重ねられています(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第1回資料・令和8年4月20日)。

現在の評価ルールである「財産評価基本通達」は、昭和39年(1964年)に公表されたものです。60年以上にわたって基本的な骨格が維持されてきた評価方法が、いま根本から組み替えられようとしています。

日本経済新聞の報道によれば、国税庁は3つの評価方式を「残余利益方式」に一本化する案を軸に検討を進めており、令和9年度(2027年度)の税制改正で結論を出す方向とされています(出典 日本経済新聞 令和8年8月19日「非上場株の相続税評価で新ルール案、純資産・利益で算定 事業承継に配慮」)。適用開始は令和10年(2028年)分の相続からと見込まれていますが、内容も時期も、現時点では確定していません。

この見直しは、非上場株式を保有するすべての方に関係いたします。会社標本調査によれば、国内の企業はおよそ284万4千社あり、そのうち上場企業は約4千社にとどまります。残る99%以上が非上場株式です。

【令和8年8月20日 追記】第5回有識者会議で、国税庁が見直しの方向性を示しました

本記事の公開後、令和8年8月20日に第5回有識者会議が開催され、国税庁が「これまでの議論を踏まえた、国税庁の考える評価の見直しの方向性」と題する資料(全7頁)を提出いたしました。以下に要点を追記いたします。

【追記】第5回有識者会議(令和8年8月20日)で示された方向性

国税庁が示した資料の目次は、次の7項目です(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」資料・令和8年8月20日)。

  1. これまでの議論を踏まえた、国税庁の考える評価の見直しの方向性
  2. 「仮に」残余利益方式(簿価純資産ベース)を採用した場合の評価方法のイメージ①
  3. 同 イメージ②
  4. 純資産価額方式について
  5. 配当還元方式について
  6. 租税回避スキーム(評価額圧縮スキーム)への対応の方向性①
  7. 同 ②

 類似業種比準方式の存置は「困難ではないか」とされました

資料は、会社規模による区分を廃止し、「広範の企業を共通の評価方式で評価することが考えられるか」としたうえで、「類似業種比準方式を存置することは困難ではないか」と述べています。

そして、「実務・学術研究の進展を踏まえ、インカムアプローチによる評価を主軸とすべき」との方向性が示されました。インカムアプローチとは、会社が将来生み出す収益に着目して株式の価値を測る考え方です。

本記事で申し上げてきた「これまでの評価が低すぎた」という指摘が、国税庁自身の資料によって、より明確な形で裏づけられたことになります。純資産価額の3割弱にとどまっていた類似業種比準方式は、存置が困難であるとされたのです。

 残余利益方式の計算構造が具体的に示されました

計算式は「簿価純資産 ± 数年分の超過収益 = 評価額」とされ、構成要素は次の2つです。

  • 簿価純資産(時価への洗替えを行わず、継続企業を前提とした帳簿価額)
  • 超過収益(通常期待される収益を上回る金額の現在価値の合計)
  • 年数について、有識者からは「5年分が良いのではないか」との意見が示されました

あわせて、赤字又は低収益の企業の場合には、簿価純資産以下の評価額となることが明記されています。収益力の高い会社ほど評価額が上がり、収益力のない会社は下がるという構造です。

 純資産価額方式は「特定の評価会社」用に位置づけ直されます

「継続企業を清算価値で評価すべきではない」との考え方から、純資産価額方式は原則的評価方式ではなく、特定の評価会社の株式の評価方式として位置づけてはどうかとされました。

 配当還元方式は「廃止」ではなく「範囲を見直したうえで存置」です

第4回会合(令和8年7月3日)では、複数の委員から配当還元方式の廃止を支持する意見も示されていましたが、第5回で国税庁が示した方向性は次のとおりです。

「特例的評価方式の趣旨を逸脱した濫用があることを踏まえ、特別の例外措置として適用の範囲等を見直した上で存置」し、「配当を受け取る以外に期待できない株主に対する特例的評価方式」として位置づけ直す。

そのうえで、今後の検討事項として次の3点が挙げられています。

  • 最低配当2.5円とする計算方法の見直し
  • 固定価格の従業員持株会株式との関係の整理
  • 税制適格ストック・オプションへの影響への対応

少数株主の皆様にとって重要なのは、配当還元方式が「配当を受け取る以外に期待できない株主」に限定される方向にあるという点です。裏を返せば、会社に対して株式の買取りを求め、価格を争うことのできる株主は、配当還元価額という極端に低い評価の対象からは外れていくということでもあります。

 評価額を圧縮する手法への対応

租税回避スキームへの対応として、次の2点が示されました。

  • 会社規模等の操作への対応 「規模に応じて異なる方法を用いるのではなく、規模に関わらず単一の評価方式とすることで対応できないか」
  • 利益等の恣意的な操作への対応 「企業の正常利益により行い、非経常的な損益を除外して評価することにより、評価額の恣意性を排除できないか」

後段は、少数株主の皆様にとって見逃せない論点です。役員報酬を過大に計上して利益を圧縮するといった手法が、評価の場面で通用しにくくなることを意味するからです。

 第4回会合(令和8年7月3日)で示された論点

あわせて、第4回会合の議事要旨に記載された論点のうち、少数株主に関わるものを掲げます。

  • 配当還元方式について、還元率及び対象株主の範囲の見直しが必要との指摘が複数の委員からなされたこと
  • 配当還元方式の対象株主の判定について、議決権割合のみではなく持株割合も用いて判定してはどうかとの提案がなされたこと
  • 従業員持株会との関係の整理が課題として挙げられたこと
  • 委員から「60年ぶりの抜本改正に拙速さがある」との指摘があり、相当な準備期間を求める声が多数あったこと

なお、これらはいずれも検討の途中段階であり、確定した内容ではありません。年末の税制改正大綱を経て、通達改正へと進む見込みです。

なぜこの記事を、少数株主の皆様にお読みいただきたいのか

結論から申し上げます。

今回の見直しによって、皆様がお持ちの非上場株式の評価額は、これまで会社側から示されてきた金額よりも、はるかに高いものであったことが、国の評価ルールの側から明らかにされようとしています。

「株価が上がった」のではありません。「これまでの評価が低すぎた」ということが、国税庁自身の資料によって数字で示されたのです。

少数株主の皆様は、これまで会社から「あなたの株式にはたいした価値がない」「額面で返してほしい」「配当還元価額でしか買い取れない」と言われ続けてこられたのではないでしょうか。その前提そのものが、いま崩れつつあります。

何が変わるのか 3つの方式から「残余利益方式」へ

現行のルール

現在の財産評価基本通達では、会社の規模に応じて次の3つの方式を使い分けています。

類似業種比準方式 事業内容が似ている上場企業の株価を参考にして評価する方式。大会社に適用されます
純資産価額方式 会社の資産から負債を引いて評価する方式。小会社に適用されます
併用方式 上記2つを組み合わせる方式。中会社に適用されます

このほか、少数株主が取得する株式については、特例的な評価方法として「配当還元方式」が用いられます。

新ルール案

報道されている新ルール案は、会社の規模による区分をやめ、企業の純資産と利益から算定する「残余利益方式」に一本化するというものです。計算式のイメージは次のとおりとされています。

(簿価純資産 + 残余利益 × 5年分) × 一定の係数

「残余利益」とは、資産から通常期待される収益を超えて、その会社が現に稼ぎ出している利益のことです。すなわち、その会社の「超過収益力」を株価に正面から織り込む考え方です。

評価額はどれだけ上がるのか

日本経済新聞が中堅の税理士法人の協力を得て行った試算では、次の結果が示されています(出典 日本経済新聞 令和8年8月19日「非上場株の相続、大規模・高収益なら税負担増 新ルール案で日経試算」。括弧内は相続税額)。

想定会社 現行ルール 新ルール案
売上高56億円・利益3.1億円
簿価純資産29億円・従業員91人の製造卸売業
17.1億円
(8.4億円)
21.6億円
(10.9億円)
売上高17億円・利益2900万円
簿価純資産4.9億円・従業員8人の工業
9600万円
(1100万円)
3億円
(9300万円)

2番目の会社をご覧ください。評価額は9600万円から3億円へと、およそ3.1倍になっています。相続税額に至っては1100万円から9300万円へと、8倍を超えて増加しています。

今回の見直しで評価額が大きく上がるのは、規模が大きく、収益力の高い会社です。長年にわたって堅実に利益を積み上げ、内部留保を厚くしてきた同族会社ほど、影響は大きくなります。皆様が株式をお持ちの会社が、まさにそのような会社ではないでしょうか。

なぜ上がるのか これまでの評価が「低すぎた」からです

ここが本記事の核心です。

国税庁が有識者会議の第1回会合に提出した資料には、次の数字が記載されています(出典 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議」第1回資料・令和8年4月20日)。

  • 類似業種比準価額の中央値は、純資産価額の中央値の26%から27%程度にとどまっている(令和4年分から令和5年分の申告分)
  • 類似業種比準価額を純資産価額で除した値が0.5倍未満である会社が、77.6%を占める
  • 申告評価額が純資産価額に占める割合(中央値)は、大会社0.44倍、中会社0.50倍、小会社0.60倍であり、会社の規模が大きくなるほど、評価額が相対的に低く算定される傾向がある
  • 評価対象会社の82.4%が、直前2期において配当をまったく支払っていない
  • 配当還元方式の還元率10%は、昭和39年の通達制定以来、一度も見直されていない

会計検査院も、令和2年分から令和3年分の申告について、類似業種比準価額の中央値が純資産価額の中央値の27.2%にとどまっていると指摘しています。

言い換えれば、こういうことです。

会社の純資産が10億円あっても、相続税の世界では2億7000万円程度としか評価されてこなかった。そしてその低い評価額が、少数株主に対する株式買取価格の交渉においても、事実上の「相場観」として持ち出されてきた。

この構造そのものが、いま公式に是正されようとしているのです。

国税当局は、すでに「低すぎる評価」を否認し始めています

評価ルールの見直しに先立ち、国税当局は財産評価基本通達第6項(総則6項)を適用して、通達どおりの評価額を否認する事案を積み重ねています。総則6項は、通達による評価が「著しく不適当」と認められる場合に、国税庁長官の指示によって別途評価することを認める規定です。

報道されている事案は次のとおりです(出典 日本経済新聞 令和8年8月20日「非上場株の相続評価見直し、国税庁が過度な節税抑止 一部は増税に」)。

国税不服審判所裁決(令和6年〈2024年〉3月) 相続人の申告額21億円 → 国税当局の評価40億円
東京高等裁判所判決(令和7年〈2025年〉6月) 相続人の申告額18億円 → 国税当局の評価35億円

いずれも約2倍です。なお、財産評価基本通達第6項の適用件数は、令和5年度末までに27件(不動産13件、株式14件)とされています。

ここで少数株主の皆様に申し上げたいのは、次のことです。国税当局が「21億円ではなく40億円である」と主張して勝訴している会社の株式について、その少数株主だけが、配当還元価額や額面で買い取られなければならない理由は、どこにもありません。

新しい評価方法は、M&Aの株価算定に近づきます

ここが、私どもが最も重要だと考えている点です。

残余利益方式は、簿価純資産に「超過収益力の5年分」を加算するという構造です。これは、会社が将来生み出す利益を株式の価値として評価するという考え方であり、M&A(合併及び買収)の実務において用いられるディスカウント・キャッシュ・フロー法や収益還元法と、発想を共有しています。

国税庁も、見直しの視点として「企業価値評価の学術的な研究やM&Aにおける評価方法等も参考として、抜本的な見直しも視野に入れる」旨を明らかにしています。

これまで、少数株主が株式売買価格決定の申立てにおいて「わが社の株式は収益力に見合った価格で評価されるべきである」と主張しても、会社側からは「相続税評価額はこれだけだ」「配当還元価額はこれだけだ」という反論が返ってくるのが常でした。

その反論の土台が、これから外れます。国の評価ルールそのものが、収益力に基づく評価へと舵を切るからです。少数株主の主張は、これまでよりもはるかに通りやすくなるものと考えられます。

少数株主の皆様にとって、何を意味するのか

第一に、皆様の株式は、聞かされてきた金額よりはるかに高額です

「非上場株式は換金できない」「配当もない」「だから価値がない」という説明を、会社や顧問税理士から受けてこられた方は少なくないと存じます。しかし、国税庁の資料が示すとおり、従来の評価額は純資産の3割弱にすぎませんでした。収益力の高い会社であれば、実態としての株式価値は、示されてきた金額の数倍に達している可能性が十分にあります。

提示された株式売買価格が低すぎるとお感じであれば、その直感は正しい可能性が高いと申し上げます。

第二に、配当還元方式の見直しも議論されています

少数株主が取得する株式に適用される配当還元方式の還元率10%は、昭和39年以来据え置かれています。有識者会議では、長く続いた低金利のもとでは還元率10%は相対的に高すぎるとの課題が示されています。還元率が引き下げられれば、配当還元価額は逆に上昇いたします。

つまり、少数株主が保有する株式についても、相続税評価額が引き上げられる可能性があるということです。換金できないまま相続税の負担だけが重くなるという事態は、少数株主にとって最も避けなければならない状況です。

第三に、安易な買取提案に応じてはなりません

この見直しの動きが広く知られるようになれば、会社側が「いまのうちに」と称して、旧来の低い評価額を前提とした買取りを急ぐ場面が増えることが予想されます。

評価ルールが変わる前に、旧来の低い価格で買い取ってしまいたい。そう考える会社が出てくることは、自然な成り行きです。皆様が、その相手方となる可能性があります。

会社側にとっても、いま買い取る方が得策です

視点を変えて、会社側の立場からも申し上げます。私どもは、会社側のご相談もお受けしています。

分散した少数株式を集約したいとお考えの会社にとって、今回の見直しは買取コストの上昇要因です。理由は3つあります。

  1. 評価ルールそのものが引き上げ方向に動きます。収益力の高い会社ほど、評価額の上昇幅は大きくなります。
  2. 物価上昇と金利上昇の局面にあります。名目の利益水準が上昇すれば、残余利益方式のもとでは評価額も上昇いたします。また、保有不動産等の含み益が拡大すれば、純資産の評価も押し上げられます。
  3. 少数株主の側の情報環境が変わります。今回の報道により、少数株主が「自分の株式は実は高額であった」と知る機会が急速に増えます。交渉の前提が変わります。

すなわち、時間が経つほど、会社が支払わなければならない株式買取価格は高くなっていくという構造です。株式の集約を検討されている会社にとっては、いまが最も低い水準で解決できる局面であるとも申し上げられます。

もっとも、これは少数株主の皆様にとっては、逆の意味を持ちます。すなわち、会社が急いで買い取ろうとしてきたときこそ、その提示額が適正であるかを慎重に検証すべき場面だということです。

少数株主の皆様が、いま着手すべきこと

 会社の財務内容を把握する

株式の価値を主張するには、会社の利益と純資産の実額を知る必要があります。株主には会計帳簿の閲覧謄写請求の権利があります(会社法第433条)。3%以上の議決権又は発行済株式を保有していれば行使できます。

会社が任意に応じない場合には、会計帳簿の閲覧謄写請求の訴えを提起することができます。

 株式譲渡承認請求を行う

譲渡制限株式であっても、株主は会社に対して株式譲渡承認請求を行うことができます。会社が承認しない場合、会社又は会社の指定する買取人が買い取らなければなりません。

この手続を踏むことにより、価格の協議が整わないときは、裁判所に対して株式売買価格決定の申立てをすることができます。会社の言い値ではなく、裁判所が定める価格で売却する道が開かれます。

 価格算定の主張を組み立てる

株式売買価格決定の申立てにおいて、裁判所は相続税評価額に拘束されません。収益還元法、ディスカウント・キャッシュ・フロー法、純資産法等を、事案に応じて適切に組み合わせて価格を判断いたします。

今回の評価ルールの見直しは、「超過収益力を株価に反映させるべきである」という考え方が、国の側からも承認されたことを意味します。少数株主の主張を裏づける、極めて有力な材料です。

留保事項

公平を期して申し上げます。新しい評価ルールは、現時点では案の段階にあり、内容も適用時期も確定していません。

有識者会議では、日本商工会議所が「評価方法の単独での見直しには断固反対である」との意見書を提出し、事業承継への配慮を求めています。日本税理士会連合会からも、実務上の課題が指摘されています。今後の議論により、内容が変更される可能性は十分にあります。

しかしながら、「これまでの評価が純資産の3割弱にとどまっていた」という事実そのものは、国税庁自身が公表した数字であり、動きません。また、国税当局が総則6項によって低すぎる評価を否認し、裁判所がこれを認めているという事実も、すでに積み重ねられています。

少数株主の皆様が「自分の株式の本当の価値」を問い直すべき時期であることに、変わりはありません。

よくある御質問

相続税評価額が上がれば、会社が買い取る価格も上がるのですか

相続税評価額と、会社が株主から買い取る価格とは、法律上は別のものです。しかし実務上は、相続税評価額が価格交渉の出発点として持ち出されることが多く、事実上の影響は小さくありません。相続税評価額が引き上げられれば、「その金額よりも低い価格で買い取る」という主張は成り立ちにくくなります。

私は数パーセントしか持っていません。それでも意味がありますか

あります。持株比率が小さくても、株式譲渡承認請求と株式売買価格決定の申立ての手続は、1株でも保有していれば利用できます。むしろ、会社の収益力が高いほど、1株当たりの価格は大きくなります。持株数が少ないことは、価格が低いことを意味しません。

相続で取得した株式ですが、会社と面識がありません

相続によって株式を取得された方からのご相談は、当事務所が最も多く取り扱っている類型のひとつです。会社と面識がなくとも、株主としての権利は法律上当然に認められます。会社に対して名義書換を求めるところから、順を追って進めてまいります。

いま動くべきですか、それとも新ルールの確定を待つべきですか

一概には申し上げられませんが、会社側から株式の買取りの打診が来ている場合には、早急にご相談ください。旧来の低い評価額を前提とした提案である可能性があるためです。他方、こちらから請求を行う場合には、会社の直近の決算内容を踏まえて時期を検討することになります。個別の事情によりますので、まずはお聞かせください。

おわりに

非上場株式の少数株主は、長らく「泣き寝入りするしかない立場」と考えられてきました。配当は出ない。経営には関与できない。売ろうにも買い手がいない。会社に株式の買取りを求めても、驚くほど低い金額しか示されない。

その状況を支えていたのが、実態から大きく乖離した、低すぎる株価の評価方法でした。

その評価方法が、60年を経て、いま国の手で改められようとしています。皆様がお持ちの株式は、これまで言われてきた金額よりも、はるかに高い価値を持っている可能性があります。

弁護士法人M&A総合法律事務所は、非上場株式の少数株主の皆様の側に立って、会社に対する株式買取請求、価格の交渉、株式売買価格決定の申立てを数多く取り扱ってまいりました。代表弁護士は、米国の大学院においてファイナンス理論を修得しており、株式価値評価を正面から争うことができます。

お持ちの株式について、いくらで買い取ってもらえるのか。会社の提示額は妥当なのか。まずはお聞かせください。必ず解決できますから、一緒に頑張りましょう。

非上場株式・少数株式の売却に関するご相談
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418
受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)

関連ページ

出典

  • 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第1回)」資料(令和8年4月20日)
  • 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」資料(令和8年8月20日)
  • 国税庁「第4回 取引相場のない株式の評価に関する有識者会議 議事要旨」(令和8年7月3日)
  • 日本経済新聞 令和8年8月19日「非上場株の相続税評価で新ルール案、純資産・利益で算定 事業承継に配慮」
  • 日本経済新聞 令和8年8月19日「非上場株の相続、大規模・高収益なら税負担増 新ルール案で日経試算」
  • 日本経済新聞 令和8年8月19日「非上場株の算定方法とは 従来は3方式、極端な節税で訴訟も」
  • 日本経済新聞 令和8年8月20日「非上場株の相続評価見直し、国税庁が過度な節税抑止 一部は増税に」

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本ページの主題に関し、当事務所の取扱内容、対応の進め方及び費用の考え方は、次の御案内のページに整理しています。あわせて御覧ください。