株券不発行会社の株式の譲渡|譲渡の効力要件・対抗要件・譲渡承認請求
非上場株式110番
株券不発行会社の株式の譲渡
株券を発行する旨の定款の定めがない株式会社の株式について、譲渡の効力要件、対抗要件、譲渡承認請求、売買価格の決定の申立てまでを、会社法の条文に即して、株主の側の視点から整理いたします。
- 1 株券不発行会社の株式の譲渡について
- 2 株券発行会社と株券不発行会社の区別
- 3 会社法の原則は株券を発行しないことです
- 4 平成18年施行の会社法による転換と経過措置
- 5 御自身の会社が株券不発行会社かどうかを確かめる方法
- 6 株券不発行会社における株式譲渡の効力要件
- 7 株券不発行会社における株式譲渡の対抗要件
- 8 株主名簿の名義書換請求の手続
- 9 名義書換請求を単独で行うことができる場合
- 10 譲渡制限株式である場合の譲渡承認請求
- 11 会社の決定手続と、承認をしたとみなされる場合
- 12 会社が承認をしない場合の会社又は指定買取人による買取り
- 13 売買価格の決定の申立て
- 14 株式買取業者から買取りの打診を受けられた方へ
- 15 情報を得るための手段
- 16 株券発行会社であるのに株券が現に発行されていない場合
- 17 株主が採り得る具体的な手順と、当事務所の取扱い
1 株券不発行会社の株式の譲渡について
非上場の株式会社の株式をお持ちの方が、その株式を譲渡しようとする場合、最初に確認しなければならないのは、その会社が株券を発行する旨の定款の定めを置いているかどうかという点です。株券を発行する旨の定款の定めがない株式会社は、会社法にいう株券発行会社に当たりません。本ページでは、これを株券不発行会社と呼びます。
株券不発行会社の株式の譲渡は、株券の交付を要しない一方で、株主名簿の名義書換えが決定的な意味を持ちます。手続の順序を誤りますと、譲渡の効力そのものは生じていても、会社に対して株主であることを主張することができないという事態が生じます。本ページでは、株主の側の立場から、株券不発行会社の株式の譲渡に関する法律上の要件と実務上の手順を、条文を示しながら整理いたします。
2 株券発行会社と株券不発行会社の区別
会社法第117条第7項は、株券発行会社を、その株式(種類株式発行会社にあっては、全部の種類の株式)に係る株券を発行する旨の定款の定めがある株式会社をいうと定義しています。そして、会社法第214条は、株式会社は、その株式に係る株券を発行する旨を定款で定めることができると規定しています。
すなわち、株券を発行する会社であるかどうかは定款の定めによって決まるのであって、現実に株券という紙が存在するかどうかによって決まるものではありません。株券を一度も印刷したことがない会社であっても、定款に株券を発行する旨の定めがあれば、法律上は株券発行会社です。この区別は、後に述べる譲渡の効力要件を左右いたしますので、手続に着手する前に確定しておく必要があります。
御自身の会社が株券発行会社であるか株券不発行会社であるか判然としない、という段階でも御相談いただけます。
弁護士法人M&A総合法律事務所 電話番号 03-6435-8418 受付時間 8時00分から21時00分まで(土曜・日曜・祝日を含みます)。ご相談は事前予約制です。
3 会社法の原則は株券を発行しないことです
会社法第214条は、株券を発行する旨を定款で定めることが「できる」という書き方をしています。定款に定めを置かない限り株券は発行されないという建て付けですので、会社法の原則は株券不発行であるということになります。
株主は、その有する株式を譲渡することができるのが原則です(会社法第127条)。株券という有価証券を用いなくとも、株式の譲渡そのものは可能です。平成18年5月1日に会社法が施行された後に設立された株式会社の多くは、株券を発行する旨の定款の定めを置いておらず、株券不発行会社として運営されています。
4 平成18年施行の会社法による転換と経過措置
会社法の施行前の商法の下では、株式会社は株券を発行することが原則とされていました。会社法の施行によって、この原則が逆転いたしました。
もっとも、会社法の施行の際に現に存在していた株式会社については、定款に株券を発行しない旨の定めがない限り、株券を発行する旨の定款の定めがあるものとみなす経過措置が置かれています(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第76条第4項)。したがいまして、平成18年5月1日より前に設立された会社は、その後に定款を変更していない限り、形式上は株券発行会社のままである可能性があります。株券を現実に作成したことが一度もない会社であっても同様です。設立年月日の古い会社について株式の譲渡を検討される場合には、この点の確認が特に重要です。
古くから続く同族会社の株式を譲渡したいが、定款の所在も分からないという場合は、まず現状の確認から着手いたします。
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5 御自身の会社が株券不発行会社かどうかを確かめる方法
確認の方法は主として2つあります。
第1に、定款を確認する方法です。株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、定款の閲覧及びその謄本又は抄本の交付を請求することができます(会社法第31条第2項)。株主であれば、会社に対して定款の写しの交付を求めることができるということです。
第2に、登記を確認する方法です。株券発行会社であるときは、その旨が登記事項とされています(会社法第911条第3項第10号)。したがいまして、法務局において履歴事項全部証明書を取得し、株券を発行する旨の定めに関する記載があるかどうかを確認することによって判断することができます。当該記載がなければ、株券不発行会社であると考えられます。
なお、株券を発行する旨の定款の定めを廃止する定款の変更をした場合には、原則として、その効力が生ずる日の2週間前までに、所定の事項を公告し、かつ、株主及び登録株式質権者に各別に通知しなければならないとされています(会社法第218条第1項)。過去に株券発行会社から株券不発行会社へ移行した会社については、履歴事項全部証明書にその経緯が表れることがあります。
6 株券不発行会社における株式譲渡の効力要件
会社法第128条第1項は、株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないと規定しています(ただし、自己株式の処分による株式の譲渡については、この限りでないとされています)。この規定は株券発行会社についてのものですから、株券不発行会社には適用がありません。
株券不発行会社における株式の譲渡は、譲渡人と譲受人との間の意思表示の合致によって効力を生じます。株式譲渡契約書を取り交わすことが通常ですが、法律上、書面の作成が効力要件とされているわけではありません。もっとも、後日の紛争を避けるため、譲渡の当事者、対象となる株式の数、譲渡代金の額及びその支払方法、名義書換手続への協力義務を明記した書面を作成しておくことが望ましいと考えます。
株式譲渡契約書の案文の検討、名義書換手続への協力条項の設計についても承ります。
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7 株券不発行会社における株式譲渡の対抗要件
会社法第130条第1項は、株式の譲渡は、その株式を取得した者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、株式会社その他の第三者に対抗することができないと規定しています。同条第2項は、株券発行会社における同条第1項の規定の適用については、「株式会社その他の第三者」とあるのは「株式会社」とする旨を定めています。
この読替えの意味は重要です。株券発行会社においては、株主名簿の名義書換えは会社に対する対抗要件にすぎません。これに対し、株券不発行会社においては、株主名簿の名義書換えが、会社に対する関係だけでなく、第三者に対する関係においても対抗要件となります。同一の株式が重ねて譲渡された場合の優劣も、原則として株主名簿の記載又は記録の先後によって決まることになります。名義書換えを後回しにすることの危険は、株券発行会社の場合よりも大きいということができます。
8 株主名簿の名義書換請求の手続
株主名簿には、株主の氏名又は名称及び住所、その株主の有する株式の数、その株主が株式を取得した日等が記載され、又は記録されます(会社法第121条)。
株式を当該株式を発行した株式会社以外の者から取得した者は、当該株式会社に対し、当該株式に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができます(会社法第133条第1項)。これがいわゆる名義書換請求です。
そして、この請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならないとされています(会社法第133条第2項)。すなわち、譲受人が単独で請求することは原則としてできず、譲渡人と共同して請求することが原則です。譲渡代金の支払と引換えに、名義書換請求書に譲渡人の署名又は記名押印を得ておくことが、実務上きわめて重要です。
譲渡人が名義書換えに協力しない、あるいは会社が名義書換えに応じないという段階での御相談も承ります。
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9 名義書換請求を単独で行うことができる場合
会社法第133条第2項は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を、共同請求の原則の例外としています。この法務省令に当たるのが会社法施行規則第22条であり、株式取得者が単独で請求をすることができる場合が列挙されています。
例えば、株式取得者が確定判決の内容を証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき、確定判決と同一の効力を有するものの内容を証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき、一般承継(相続その他の一般承継をいいます)を証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき、競売により当該株式を取得したことを証する書面その他の資料を提供して請求をしたとき、指定買取人が売買代金の全部を支払ったことを証する書面その他の資料を提供して請求をしたときなどが、これに当たります。
したがいまして、譲渡人が名義書換手続に協力しない場合には、譲渡人に対し名義書換請求手続への協力を求める訴えを提起し、確定判決を得た上で、株式取得者が単独で請求を行うという方法が考えられます。会社が正当な理由なく名義書換えを拒む場合には、会社を相手方として、株主名簿の名義書換えを求める訴えを提起することが考えられます。
10 譲渡制限株式である場合の譲渡承認請求
非上場会社の株式の多くには、譲渡による当該株式の取得について会社の承認を要する旨の定めが置かれています。この定めのある株式を譲渡制限株式といいます。
譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除きます)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができます(会社法第136条)。既に譲渡制限株式を取得した者の側から請求することもできますが、この場合の請求は、原則として、株主名簿上の株主又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければなりません(会社法第137条第1項、第2項)。
請求に際しては、譲り渡そうとする譲渡制限株式の数、当該株式を譲り受ける者の氏名又は名称、及び、会社が承認をしない旨の決定をする場合において会社又は指定買取人が当該株式を買い取ることを請求するときはその旨を、明らかにしなければなりません(会社法第138条)。この買取りを請求する旨の記載を欠きますと、承認が得られなかった場合に会社又は指定買取人に対して買取りを求めることができなくなります。請求書の記載は慎重に検討する必要があります。
なお、譲渡制限株式については、所定の承認等がある場合等を除き、名義書換請求に関する会社法第133条の規定は適用されません(会社法第134条)。承認手続を経ないまま名義書換えのみを求めることは、原則としてできないということです。
譲渡承認請求書の記載事項に漏れがありますと、後に買取りを求める道が閉ざされることがあります。提出前に御相談ください。
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11 会社の決定手続と、承認をしたとみなされる場合
承認をするか否かの決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては取締役会)の決議によらなければなりません。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでないとされています(会社法第139条第1項)。会社は、当該決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者に対し、当該決定の内容を通知しなければなりません(会社法第139条第2項)。
会社がこの手続を怠った場合には、株主にとって有利な効果が生じます。すなわち、会社が会社法第136条又は第137条第1項の規定による請求の日から2週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に会社法第139条第2項の規定による通知をしなかった場合には、会社は承認をしたものとみなされます(会社法第145条第1号)。
また、会社が会社法第139条第2項の規定による通知の日から40日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に会社法第141条第1項の規定による通知をしなかった場合にも、原則として承認をしたものとみなされます(会社法第145条第2号)。ただし、指定買取人が会社法第139条第2項の規定による通知の日から10日(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に会社法第142条第1項の規定による通知をした場合は、この限りではありません。なお、会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、これらの規定は適用されません。
会社が請求を放置している事案では、これらの期間が経過していないかどうかを確認することが有益です。
12 会社が承認をしない場合の会社又は指定買取人による買取り
会社が承認をしない旨の決定をしたときは、買取りを請求する旨の記載がある限り、会社は、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(対象株式)を買い取らなければなりません(会社法第140条第1項)。この買取りに関する事項は株主総会の決議によって定めることとされ、譲渡等承認請求者は、原則として当該株主総会において議決権を行使することができません(会社法第140条第2項、第3項)。
また、会社は、対象株式の全部又は一部を買い取る者を指定することができます(会社法第140条第4項)。この指定を受けた者を指定買取人といいます。指定は、取締役会設置会社にあっては取締役会の決議によって、それ以外の会社にあっては株主総会の決議によって行われます(会社法第140条第5項)。
会社が対象株式を買い取る場合、会社は、買い取る旨及び買い取る対象株式の数を譲渡等承認請求者に通知しなければならず(会社法第141条第1項)、その通知をしようとするときは、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額を供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければなりません(会社法第141条第2項)。指定買取人が買い取る場合も、これと同様の通知及び供託が必要です(会社法第142条)。
なお、譲渡等承認請求者は、これらの買取りの通知を受けた後は、会社又は指定買取人の承諾を得た場合に限り、譲渡等承認請求を撤回することができます(会社法第143条)。撤回が自由にできるわけではない点に留意が必要です。
会社から承認をしない旨の通知を受け取られた場合、その後の対応には期間の制限があります。速やかに御相談ください。
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13 売買価格の決定の申立て
買取りの通知があった場合、対象株式の売買価格は、まず会社と譲渡等承認請求者との協議によって定めます(会社法第144条第1項)。
協議が調わない場合に備え、会社又は譲渡等承認請求者は、会社法第141条第1項の規定による通知があった日から20日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができます(会社法第144条第2項)。この20日という期間はきわめて短いものです。当該期間内に申立てがないとき(当該期間内に協議が調った場合を除きます)は、1株当たり純資産額に対象株式の数を乗じて得た額をもって売買価格とすることとされています(会社法第144条第5項)。したがいまして、期間を徒過しますと、株主の側が価格について争う機会を失うことになります。指定買取人が買い取る場合についても、これらの規定が準用されます(会社法第144条第7項)。
裁判所は、売買価格の決定をするには、譲渡等承認請求の時における会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならないとされています(会社法第144条第3項)。実務上は、純資産価額法、収益還元法、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法、配当還元法、類似会社比準法といった評価手法のうち、いずれの手法をどのような比重で用いるかが主たる争点となります。株主の側においても、評価に関する意見書等を準備し、主張を尽くすことが求められます。
14 株式買取業者から買取りの打診を受けられた方へ
近年、非上場会社の株主に対し、その株式の買取りを持ちかける事業者が存在します。買取りの打診それ自体が直ちに違法となるものではありませんが、株主の側としては、次の点に留意されることをお勧めいたします。
株式買取業者からの買取りの打診について
提示される金額が、その株式の実質的な価値を大きく下回っている場合があります。非上場株式には市場価格が存在せず、株主の側において価値を検証することが容易でないためです。会社の決算書類等を確認しないまま提示額の当否を判断することは、一般に困難であると考えられます。
また、いったん株式を譲渡してしまいますと、その後に価格の是正を求めることは一般に困難です。株式を失うことにより、株主名簿の閲覧謄写請求権、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写の請求権、株主総会における議決権など、株主としての地位に基づく権利も併せて失われます。
譲渡の当否及び価格の妥当性については、譲渡を実行される前に、弁護士に御相談いただくことをお勧めいたします。譲渡の前と後とでは、採り得る手段の幅が大きく異なります。
買取りの打診を受けておられる場合は、返答をされる前に一度お問い合わせください。
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15 情報を得るための手段
株式の価値を検討し、あるいは名義書換えの状況を確認するためには、会社が保有する情報の開示を受ける必要があります。会社法は、株主に対していくつかの手段を用意しています。
第1に、株主名簿の閲覧謄写請求です。株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備え置かなければならないとされ(会社法第125条第1項)、株主及び債権者は、当該株式会社の営業時間内は、いつでも、請求の理由を明らかにして、株主名簿の閲覧又は謄写を請求することができます(会社法第125条第2項)。会社は、法定の拒絶事由がある場合を除き、これを拒むことができません(会社法第125条第3項)。
第2に、株券不発行会社に特有の手段として、株主名簿記載事項を記載した書面の交付請求があります。株主名簿に記載され、又は記録された株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができます(会社法第122条第1項)。そして、この規定は、株券発行会社については適用しないとされています(会社法第122条第4項)。株券という証券が存在しない株券不発行会社において、自らが株主であることを証する資料を得るための重要な手段です。
第3に、総株主の議決権の100分の3(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除きます)の100分の3以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、請求の理由を明らかにして、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写の請求をすることができます(会社法第433条第1項)。株式の価値を検討するに当たり、有力な手段となり得ます。
16 株券発行会社であるのに株券が現に発行されていない場合
実務上、最も問題となりやすいのが、定款上は株券を発行する旨の定めがあるにもかかわらず、株券が一度も作成されていないという類型です。
株券発行会社は、株式を発行した日以後遅滞なく、当該株式に係る株券を発行しなければならないのが原則です(会社法第215条第1項)。もっとも、公開会社でない株券発行会社は、株主から請求がある時までは、株券を発行しないことができるとされています(会社法第215条第4項)。そのため、非上場会社においては、株券が存在しない状態が長期にわたり続いていることが少なくありません。
この場合、当該会社は株券発行会社である以上、株式の譲渡には株券の交付が必要であり、株券の交付がなければ譲渡の効力は生じないのが原則です(会社法第128条第1項)。また、株券の発行前にした譲渡は、株券発行会社に対し、その効力を生じないとされています(会社法第128条第2項)。
もっとも、最高裁判所令和6年4月19日判決は、株券発行会社の株式について株券の発行前にされた譲渡が、譲渡の当事者間においては有効であるとした上で、譲受人は、譲渡人が会社に対して有する株券発行請求権を代位して行使することができる旨を判示しています。この判決により、株券が発行されていない事案における譲受人の救済の道が示されたということができます。とはいえ、手続が煩雑になることは避けられません。
実務的な対応としては、譲渡に先立ち、会社に対して株券の発行を求める方法、又は、会社において株券を発行する旨の定款の定めを廃止し、株券不発行会社へ移行する手続を行う方法(会社法第218条)が考えられます。いずれの方法が適切であるかは、会社の協力が得られるかどうか、他の株主との関係はどうかといった事情によって異なりますので、個別の検討が必要です。
株券が見当たらない、株券を作成したことがない、という会社の株式の譲渡についても取り扱っております。
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17 株主が採り得る具体的な手順と、当事務所の取扱い
以上を踏まえ、株券不発行会社の株式の譲渡を検討される株主の方が採り得る手順を整理いたします。
第1に、履歴事項全部証明書及び定款を取得し、株券発行会社であるか株券不発行会社であるか、及び譲渡制限の定めの有無を確認します。第2に、株主名簿の閲覧謄写請求、又は株主名簿記載事項を記載した書面の交付請求により、御自身の保有株式数及び名義の状況を確認します。第3に、譲渡の相手方及び譲渡条件を検討し、株式譲渡契約書の案を準備します。第4に、譲渡制限株式である場合には、買取りを請求する旨の記載を含めた譲渡承認請求書を会社に提出します。第5に、会社の対応に応じ、承認をしたとみなされる旨の主張、買取価格の協議、又は裁判所に対する売買価格の決定の申立てを検討します。第6に、承認が得られた場合には、譲渡人と共同して株主名簿の名義書換えを請求します。
当事務所は、非上場会社の株式に関する事案を継続的に取り扱っております。株主の側に立ち、事実関係及び資料の確認から、会社に対する各種の請求、価格に関する交渉、裁判所に対する申立てに至るまで、一連の対応を承ります。
なお、株式の譲渡に伴う課税関係は税理士の職域に属する事項ですので、当事務所においては、必要に応じて税理士と連携して対応いたします。また、本ページの記載は一般的な法律上の説明であり、個別の事案における結論を保証するものではありません。個別の事情によって適切な手続は異なりますので、具体的な事案については別途御相談ください。
株券不発行会社の株式の譲渡について、手順の整理からお手伝いいたします。
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ご相談は事前予約制です。お電話にて御用件をお伺いした上で、御相談の日時を調整いたします。


