非上場株式の売却が進まない場合の解決法を解説!

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非上場株式は上場株式よりも取引するのが困難です。そのため、以下のようなお悩みを聞くことがあります。
- 保有している非上場株式を会社に買い取ってくれるよう要請したが、全く買い取ってもらえない。
- 会社が非上場株式を買い取ってくれると言う場合でも、非常に安い金額(額面や配当還元法など)で買い取られてしまう。
- 最大55%もの巨額の相続税がかかってしまう。
皆様も同じようなお悩みをお持ちなのではないでしょうか。
そこで、この記事では、非上場株式が有する問題点及びその解決法について解説していきます。
非上場株式・少数株式の取引が難しい理由
一般的に非上場株式の取引は難しいと言われています。以下、その理由について解説します。
非上場株式を持っていても権利行使するのが難しい
非上場株式を持っていても、株式会社の経営に参画することは容易ではありません。非上場の会社は同族会社である場合が多く、株主を経営に参画させないことも多いためです。
そして、会社は、配当金を要求されても支給する必要がありません。そのため、非上場株式を持っているからと言って、配当金をもらえるとは限りません。
したがって、社長や経営陣と仲が良くない限り、何ら権限は行使できませんし、何の権利も得られないと言えるでしょう。
そもそも非上場株式を買い取る人が少ない
上記の通り、非上場株式の権利を行使することは難しいため、これを売却しようとしても、買い取ってくれる人が少ないです。また、会社も買い取ってくれない場合があります。
非上場株式が適正価格で買い取られる場面は限定的である
会社法上、株式買取価格・株式売買価格・株式取得価格の決定の裁判・申立・手続きがあります。これらを利用すれば、非上場株式を適正価格にて売却することができます。しかし、そのような株式買取価格・株式売買価格・株式取得価格の決定の裁判・申立・手続きを行う機会は限定されています。そうすると、適正価格よりも安い価格で売却しなければならない場合もあります。
会社法上の株式買取請求は実効性がない
株式譲渡制限が付いている場合、会社法上は、会社に対して、株式譲渡承認請求に伴う自己株買い又は指定買取人による株式買取請求権を行使できます。しかし、自己株買い又は指定買取人による株式買取請求は、通常は実効性がありません。
任意の株式買取請求も難しい
任意の株式買取請求権を行使することもできます。しかし、通常は任意の株式買取請求権にも応じてもらえないことが多いです。そうすると、非上場株式を売却するのは難しくなります。
また、会社との関係性を構築できていない場合(会社経営陣とトラブルが生じている、または会社支配権トラブルが生じている場合)、任意の株式買取請求権の手続きはスムーズに進みません。この場合、適切に対応しないと、株式を買い取ってもらえない可能性もあります。
買取人が存在する場合の非上場株式の売却方法
株式の買取人が存在する場合は、株式譲渡承認請求に伴う自己株買い又は指定買取人による株式買取請求権を行使することができます。
非上場株式は、会社の定款により株式譲渡制限が付いており、会社の譲渡承認が無い限り自由に譲渡することができません。
もっとも、会社法では、会社が株式の譲渡承認を拒否する場合には、株主は、会社に対して、譲渡の相手方(会社又は指定買取人)を指定するように請求することができます。この請求があった場合、会社は、会社又は指定買取人に、株式を買い取らせる必要があります。
これによって、株主は、非上場株式を会社又は指定買取人に対して売却・処分することができます。
非上場株式の株式買取請求権の行使方法
会社法上、株主の株式譲渡承認請求に対しては、会社は「2週間以内」に回答することが求められます。会社が買い取る場合、その後「40日以内」に買取を通知することが求められており、その後「20日以内」に交渉に基づき株式売買価格を決定することが求められており、その間に裁判所に対して株式売買価格決定申立を行わない場合は、簿価純資産価格にて、株式売買価格が自動的に確定するものとされています。
すなわち、会社法上、株式売買価格は、会社又は指定買取人と、非上場株式・少数株式の株主との協議によって決定することとなりますが、会社又は指定買取人と、非上場株式・少数株式の株主との協議が整わないときは、裁判所に対して株式買取価格・株式売買価格・株式取得価格の決定の裁判・申立・手続きを行うことができます。
非上場株式の株式売買価格の評価方法
裁判所では、どのように非上場株式の株式売買価格は決定されるのでしょうか。
現在では、次のように非上場株式の株式売買価格が決定されるようになってきています。
すなわち、非上場株式について、①株式を売却・処分しようとしている株主にとっての株式価値評価額と、②株式を買取・取得しようとしている会社又は指定買取人にとっての株式価値評価額の平均を取る方法です。
株主も会社や指定買取人も株式売買の当事者であり「対等」と言えるため、両者の株式価値の平均を取ることとなっています。
そうすると、極端に言えば、株主が0円と評価した株式であっても、会社が10000円と評価したのであれば、両者の平均を取って、株式価値評価額は5000円となるのです。
なお、指定買取人は会社と同一の立場にあるものとして評価されます。会社から買取人として指定されているのですから、会社と同一の立場とみなすことが適切だということです。
非上場株式の株式価値評価額の算定方法とは?
裁判所では、非上場株式に関する主要な株式価値評価算定方法としては、(A)収益還元法(DCF法)、(B)時価純資産法、(C)配当還元法(実質的配当還元法)、が存在します。
株式評価額(相続税評価額)を算定する際、税法上は、(あ)純資産法、(い)類似業種批准法、(う)配当還元法(形式的配当還元法)を採用し、これらの加重平均又は最低額を選択することができます。
しかし、株式評価額(相続税評価額)は課税をする際の便宜的な制度であり、実態を表しているものではありませんので、裁判所では採用されていません。
そして、裁判所は、株式価値評価額の算定について、支配株主、一般株主、それ以外の中間的株主のそれぞれで異なる方法を用いています。
支配株主には、(A)収益還元法(DCF法)及び(B)時価純資産法を採用します。一般株主には、(C)配当還元法(実質的配当還元法)を採用しています。
それ以外の中間的株主は、支配株主に近いものもいれば、一般株主に近いものもいます。そのため、その程度を具体的に検討し、支配株主にとっての株式価値評価額と一般株主にとっての株式価値評価額を加重平均して、株式価値評価額を決定します。
非上場株式の株式買取請求の方法(任意交渉・民事調停)
非上場株式の売却・処分・譲渡は、最終的には、上記のとおりの株式価値評価額に基づく適正価格での売却・処分・譲渡が可能なのです。
そして、株式価値評価額が算定できたら、会社と任意交渉(や民事調停)をすることになります。
もっとも、この株式売却の場面では税理士が関与することが多いため、任意交渉(や民事調停)においては、株式評価額(相続税評価額)が交渉の基準になってしまうことがあります。株式評価額(相続税評価額)は、会社法上の時価に比べて非常に低い金額となることが多く、株主は知らず知らずのうちに大きな損害を被ってしまっています。
また、任意交渉(や民事調停)は、強制力を伴う手段ではないため、会社が買い取りを拒否したり、異常に低い金額の提示しかしなかった場合は、非上場株式の売却・処分・譲渡は実現しません。
ただ、親族関係や人間関係の悪化を避けるため、会社からある程度適切な売買価格の提示が行われることもあります。また、実際に、株式譲渡承認請求に伴う株式買取請求権が行使された場合は、裁判所は、前述のような適切な価格を株式売買価格として決定することとなります。そのため、それよりも低い金額でということで、うまく和解が成立することも多く存在します。
したがって、適正な売買価格にて株式を売却したい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。
非上場株式の売却・処分先(株式買取人)の探し方
非上場株式を売却する際の一番の問題は、その売却・処分先となる株式買取人が存在するかどうかです。
通常、事業会社や投資家、ファンドや金融機関もいずれも、このような非上場株式の買収は行いません。非上場株式には先述したように権利行使が難しく、保有するメリットが少ないためです。
もっとも、M&Aに精通している弁護士やM&A仲介業者などを利用することにより、非上場株式の売却・処分先を探すことは十分可能となります。
当事務所では、M&A仲介業者と協働で、非上場株式の買い取りに関心を有する投資家との交渉サポートも行ってます。また、もちろん、株式買取価格・株式売買価格・株式取得価格の決定の裁判・申立・手続きサポートも行っています。
最後に
この記事では、非上場株式の問題点についてみてきました。
非上場株式は売却するのが難しいと言われていますが。まったく方法がないわけではありません。なので、売却をあきらめる必要もありません。
適正な価格で非上場株式を売却することができるように、M&Aの実績のある弁護士や法律事務所に相談することをおすすめします。
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