任意交渉・民事調停による株式買取請求の方法について徹底解説!

非上場株式・少数株式の売却で
お困りではありませんか?

近年M&Aの増加に伴い、少数株主が会社に対して株式買取請求をすることも増加しています。しかし、株式買取請求の方法の中でも、任意交渉や民事調停による方法はあまり知られていません。

そこで、この記事では、任意交渉・民事調停による株式買取請求の方法について具体的に解説していますので、ぜひ参考にしてください。

任意交渉とは

任意交渉という言葉はあまりなじみがないかもしれません。そこで、まずは任意交渉について解説していきます。

任意交渉とは

任意交渉は、裁判所によらずに、当事者自ら話し合いによって紛争解決を目指す方法を言います。一般的には、個人間での紛争については、まず当事者間で任意交渉することで紛争を解決することが多いです。

なお、任意交渉をする際の交渉人は必ずしも本人でなければいけないわけではありません。たとえば、代理人として弁護士同士が交渉にあたることも十分にあります。

任意交渉の種類としては、本人同士が交渉する方法と代理人である弁護士が交渉する方法があります。

任意交渉のメリット・デメリット

任意交渉については、メリットとデメリットがあります。それぞれを確認したうえで、任意交渉をするかどうか決定するのが良いでしょう。

任意交渉をするメリット

任意交渉をするにあたっては以下のメリットがあります。

  • 当事者の話し合いによるため基本的に費用がかからない

任意交渉による場合は裁判などの法律上の手続きを経ないため、費用を大幅に抑えることができます。

  • 当事者が合意すれば早期に株式の売却をすることができる

裁判による場合や法律上の手続きによる場合には、多大な時間や労力を必要とします。これに対し、任意交渉では当事者の合意があれば株式を売却できるため、時間や労力を節約することができます。

  • 当事者間で条件を提示することで柔軟な株式売却をしうる

任意交渉による場合には、買取価格などの条件に加えて、売却する相手を誰にするかも自由に決定することができます。そのため、柔軟に株式を売却することができます。

任意交渉をするデメリット

任意交渉をする際のデメリットとしては、以下の点があげられます。

  • 相手が交渉に応じず、そもそも交渉が成立しないことがある

任意交渉は当事者間での話し合いにより行われ、相手を強制することはできません。そのため、そもそも相手が交渉に応じず、交渉が成立しないこともあり得ます。

  • お互いが譲歩しないことにより、交渉が決裂する

任意交渉では当事者同士の譲歩により条件をすり合わせる必要があります。したがって、お互いが譲歩しなければ交渉が決裂してしまいます。

  • 一方当事者に不利な交渉になる可能性あり

任意交渉の場合、株式買取価格などを当事者が自由に決定できます。そこで、当事者間に知識や情報の格差がある場合には、一方当事者に不利な交渉になってしまう可能性があります。

任意交渉による株式買取請求の方法

任意交渉による株式買取請求が行われる場合とは

任意交渉による株式買取請求が行われるのは、多くは非上場株式の株式買取請求の場面です。

上場株式については、もともと株式市場で自由に売買できるため、当事者間で交渉することは多くありません。他方、非上場株式の場合は株式市場が存在しないため、買取価格などを交渉によって決定する必要があるのです。

任意交渉による株式買取請求の方法

任意交渉による株式買取請求の方法としては、以下のような流れになります。

交渉の代理人を探す

まず、本人が交渉するのか、それとも代理人を立てるのかを決めます。

株式買取請求をする際には、株式の買取価格を決定する必要があり、専門的な知識を要するため、弁護士などの専門家を代理人とするのが良いでしょう。

株式の買取価格について合意する

非上場株式の場合、株式買取価格を決める必要があります。その際にいくつかの基準が存在し、それぞれの基準にはメリット・デメリットが存在します。そのため、どの基準を採用するのか慎重に話し合ったうえで決定するのが良いでしょう。

契約書の作成

当事者同士で株式買取価格などの条件につき合意がなされたら、その旨を記載した契約書を作成しましょう。契約書を作成する際には、法律の専門家である弁護士に依頼すると記載漏れなく作成できます。

代金の支払いその他の法律上の手続き

契約書を作成し、契約が成立した後は、代金の支払い、株主名簿の書き換え、必要であれば譲渡承認などの法的な手続きをします。

民事調停とは

次に、民事調停について解説します。

民事調停とは、裁判所を利用して話し合いによって紛争を解決する手続きのことです。裁判とは異なり、当事者同士が納得できるような解決策を話し合うことを目的としています。

民事調停のメリット・デメリット

民事調停にもメリットやデメリットが存在します。たとえば、以下のようなものです。

民事調停のメリット

  • 簡単な手続きで利用できる
  • 裁判よりも費用が安い
  • 柔軟で円満な解決を図ることができる
  • 判決と同じ効力あり

民事調停のデメリット

  • 当事者がどちらも譲歩しない場合には紛争解決できない
  • 当事者が出席しない場合には話し合いが進まない
  • 強制力が裁判に比べて小さい

民事調停による株式買取請求の方法

民事調停による株式買取請求の方法については、以下のようになります。

民事調停の申し立て

まず、当事者の一方が民事調停を申し立てる必要があります。その際、相手の住所地を管轄する簡易裁判所に調停を申し立てます。

申立をするには、申立書に必要事項を記載し、請求額に応じて手数料を収入印紙で支払います。

呼出し・期日の指定

申立を受けた簡易裁判所は、調停委員会を構成し、調停の期日を決定します。そして、当事者に調停期日呼出状という書面を送付し、期日に出頭するように通知します。

調停による話し合い

当事者と調停委員会が期日に出席して、話し合いをします。

ここでは、買取価格やその他の条件などを話し合うことになります。

調停期日は大抵1回では終わらず、何回か行われます。

合意の成立または不成立

調停による話し合いが重ねられ、当事者双方が譲歩し、合意に至った場合には、調停成立となります。この場合、合意内容は調停調書にまとめられ。調停の手続きは終了となります。

一方、調停による話し合いがまとまらなかった場合には、調停不成立として終了します。調停委員会がこれ以上話し合っても解決できないと判断した場合に、期日を打ち切って調停不成立となることがあります。

任意交渉‣民事調停による株式買取請求の相談は法律事務所へ

任意交渉による場合でも民事調停による場合でも、株式買取価格を検討する際には、M&Aや法律に関する専門的な知識が必要となります。本人だけで交渉や調停にあたることは不利な結果を招く恐れがあると言えます。

そこで、M&Aについて専門的な知識を有し、かつ、法的な観点からアドバイスを求められるような弁護士または法律事務所に相談することをお勧めします。

まとめ

任意交渉や民事調停による株式買取請求の方法について解説しました。

法的な手続きを取らない場合や費用などを抑えたい場合には、これらの方法も検討することも良いでしょう。

その際には、当事者本人だけで決めるのではなく、M&Aや法律に関する専門家である弁護士や法律事務所に相談してみましょう。

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