非上場株式・少数株式トラブルの解決事例17【相続取得株式の売却を実現した事例(合併・株式交換への反対を契機とした紛争)】
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事案の概要
父が経営していた地方の非上場製造業会社において、父の死後、複数の兄弟・相続人間で株式の相続承継が行われました。依頼者はそのうちの一人として、総発行株式の約十二パーセントを取得しました。会社の経営権は長男が掌握しており、依頼者は経営に関与できず、配当もなく、会社の財務内容に関する情報も開示されないまま年月が経過していました。
その後、会社は合併や株式交換を伴うグループ再編計画を進め、株主総会において当該議案を上程することとなりました。依頼者は、会社の経営判断および議案の内容に強く異議を唱え、議案に反対の意思を明確にするとともに、株式買取請求権を行使しました。依頼者は、今後の経営方針の相違および親族間対立の深刻化を避けるため、保有株式を売却し現金化する方針を決定しました。
紛争・主張論点
- 株主総会議案に反対後、株式買取請求を行う法的手続の適用。
- 会社側が著しく低額な株式買取価格を提示した点。
- 依頼者側が収益還元法およびDCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)に基づき無形資産価値を含めた株式評価を主張した点。
- 当事者双方が会計士による私的鑑定をそれぞれ実施し、相互に鑑定書を提出したが、算定結果に大きな乖離が生じた点。
- 折り合いがつかず、裁判所において公的鑑定人が選任され、裁判所鑑定による最終評価に至った点。
- 裁判所鑑定結果を踏まえ、和解交渉の中で会社ではなく代表者個人が保有する資産管理会社による株式買取を実現した点。
当事務所の対応の流れ
- 株式買取請求の実行と事前準備
依頼者代理人として、株式買取請求書を会社に提出しました。あわせて、会計士に依頼して私的鑑定を実施し、収益還元法およびDCF法に基づく詳細な株式評価書を作成しました。この評価では、会社の営業利益推移、将来キャッシュフロー見通し、加重平均資本コスト(WACC)などを用い、経営の安定的収益力を反映させました。 - 会社側の主張と鑑定対立
会社側は、著しく低額な株式買取価格とすべきであると主張し、会計士に依頼した私的鑑定書を提出しました。会社側鑑定では、資産価値や将来収益力をしっかり考慮していませんでした。依頼者側鑑定との間で算定額の差は十倍以上となり、当事者間での合意は困難な状況となりました。 - 裁判所における手続移行と公的鑑定
交渉による解決が不可能となったため、当事務所は株式買取価格決定の申立てを裁判所に行いました。裁判所では、両当事者が主張立証を尽くしましたが、会社側が頑なな態度を示したため、企業価値評価の専門家である鑑定人が選任されました。当事務所は鑑定人からの資料提出要請に応じ、経営実態を反映する営業キャッシュフロー、主要取引先情報、設備投資実績などを提出し、鑑定人に対しても主張立証を尽くしました。 - 裁判所鑑定および和解協議
裁判所の鑑定の結果、鑑定人は会社の時価純資産価額に加えて、安定的な営業利益をもとに算定した無形資産価値を一定割合評価しました。この結果は、当方主張額の約八割に相当する水準でした。裁判所の和解勧告を受け、当事務所は会社側代理人との間で和解協議を実施し、早期解決を図ることとしました。 - 最終合意と履行
最終的には、会社ではなく、代表取締役が個人で設立していた資産管理会社が株式を鑑定額に基づき買い取る内容で和解が成立しました。株式買収資金の出所や税務処理の実務対応も弁護士と税理士が連携して進め、契約締結から決済まで一連の実務を完了しました。
結果
依頼者は、相続により取得した非上場株式を適正価格で売却することができました。会社側が当初主張していた著しく低額な株式買取価格(1株あたり数百円)に対し、和解による買取価格はその数倍に達しました。最終的に、実務的な解決を実現した事案です。
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