非上場株式を会社が買い取ってくれない!株式相続をしたら巨額の相続税が発生してしまう!
お困りではありませんか?

非上場株式を会社が買い取ってくれない!株式相続をしたら巨額の相続税が発生してしまう!
企業をオーナー経営している場合、そのオーナーの遺産の内訳がほぼ自社株というケースがあります。
家族や親族が会社の非上場株式である自社株を相続すると多額の相続税がかかるため、相続人が「相続税を支払う余裕がない」「相続税に充てる現金をプールしていない」と頭を抱えることもあるのです。最悪のケースで待っているのは相続人の破産です。
企業の非上場株式の相続にはどのようなデメリットや問題点があるのでしょうか。また、非上場株式の相続の問題やデメリットを解決するためにはどのような対処法があるのでしょう。
- 非上場株式を相続するデメリット
- 非上場株式の問題点
- 非上場株式相続の解決策
この記事では、非上場株式問題に精通する弁護士が非上場株式相続について徹底解説いたします。
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非上場株式と上場株式の相違点
「上場」とは、株式会社が発行する株式を証券取引所で自由に売買できるようにすることを指します。上場した企業の株式は「上場株式」、その企業は「上場会社(上場企業)」と呼ばれます。また、新たに上場することを「株式公開」と表現する場合もあります。
これに対して、証券取引所で株式を売買できない企業は「非上場会社」と呼ばれ、その会社が発行する株式は「非上場株式」といいます。
日本には約178万社もの企業法人がありますが、上場している企業はそのうち約3,850社に過ぎません。つまり、日本の企業の大多数は非上場企業です。
上場企業は、株式公開のタイミングで多くの株式を新たに発行し、広く投資家に販売します(公募増資)。これにより多額の資金を調達できる点が、上場の大きなメリットです。ただし、上場するためには厳格な審査を通過しなければならず、上場企業が少ない理由もここにあります。
一方、非上場企業の場合、株式は創業者やその親族など、限られた人物が保有していることが一般的です。歴史のある企業では、相続を通じて株主が増えたり、取引先同士で株式を持ち合うケースもあります。しかし、上場企業のように、見ず知らずの外部の投資家が株式を取得している例はほとんどありません。
非上場株式と譲渡制限株式の関係性
会社法では、株式に「譲渡制限」を設けることができます。これは、株主が自分の保有する株式を勝手に第三者へ渡すことができず、会社の承認が必要になる仕組みです。競合他社など望ましくない相手が、会社の知らないうちに株主になることを防ぐために設けられています。非上場企業の多くは、この譲渡制限付きの株式を採用しています。
ただし、相続のように株式が包括的に引き継がれるケースでは、会社の許可を得なくても株式が承継される点には注意が必要です。
一方、会社の定款で「株式の譲渡に制限を設けない」と定めることもできます。このような会社は、会社法上「公開会社」と呼ばれます。ここでいう公開会社は、証券取引所に上場する際の「株式公開」とは別の概念です。しかし、上場企業になるには、この会社法上の公開会社であることが前提条件となります。
非上場株式を相続するデメリット
相続にはプラスの印象があるかもしれません。しかし、遺産の内容によっては相続人のプラスになるどころか相続による負担が大きく、相続により相続人が困るケースがあります。非上場株式の相続が代表例です。
なぜ非上場株式の相続で相続人が困るのでしょうか。
実は、非上場株式の相続には以下のふたつのデメリットがあるのです。ふたつのデメリットにより、非上場株式を相続してしまった相続人が一気に困窮し、最悪のケースでは生活に行き詰まる可能性まで出てきます。
非上場株式は相続時に巨額の相続税が発生する
非上場株式には相続時に巨額の相続税が発生するケースが少なくありません。
たとえば中小企業を経営していた父親が亡くなり、遺産のほとんどが会社の非上場株式だったとします。相続税の計算をするときは非上場株式の価値評価をしたうえで相続税の計算を行うという流れです。
長年経営してきた企業などは相続税評価が高額になる傾向にあります。相続税を計算する際の非上場株式の評価が高くなれば、それだけ相続税額も高額になります。
企業の経営状況や利益などによっても相続税評価が変動するため、被相続人が会社経営に尽力した結果、相続税評価が高くなってしまい皮肉にも相続人を苦しめてしまうのです。
相続人が企業の非上場株式を相続しても相続税の支払いに困らないほど潤沢な現金を持っているケースならいいかもしれません。
ただ、多くの場合は遺産に占める非上場株式の割合が多く、現金は乏しいというケースです。中には相続税が数千万円や場合によっては数億円以上になるケースもあるため、相続人が困らずに納税できるケースはほぼありません。そのため、相続人は巨額の相続税に苦慮する結果になるのです。
| 相続税の計算の際に非上場株式の価値評価を行った結果、多額の相続税が発生する可能性が高くなり、そして、多くのケースでは相続税支払いに充てる現金がないため相続人が困る。 |
これが、非上場株式を相続する第一のデメリットです。
この第一のデメリットについて、事例をふたつご紹介します。
非上場株式の相続と相続税の事例①
被相続人が亡くなり、相続人は非上場株式を相続しました。このときの相続税は1,000万円でした。
相続人が亡くなり、次の相続人が非上場株式を相続したところ、会社の経営状況が以前より良好になっていたため非上場株式の評価がアップし、税務署側の判断はなんと2億円。相続税として相続人には8,000万円もの金額が請求されました。
相続人が受け取った遺産には預金や現金はなかったため、納税には自分のお金を充てるしかありません。しかし、8,000万円もの金額はなく相続税の支払いができませんでした。
払えないから「払いません」では済みません。相続人はお金をかき集めて相続税を支払いましたが、結果、自分の生活に困るようになりました。
非上場株式の相続と相続税の事例②
被相続人が遺した財産は自宅(不動産)と非上場株式である自社株だけです。
相続人は相続税申告の準備のために被上場株式の評価を行ったところ、非上場株式の評価額が高く、相続税だけで数千万円から1億円はかかるという判断でした。被相続人は現金や預金を残していなかったため、相続人の資産で払わなければいけません。しかし、相続人にもそれだけの現金ストックはありませんでした。
相続人は不動産の売却や株式売却によって現金を作ろうとしましたが、不動産や株式はなかなか売れません。また、自宅は売却しても相続税の支払い分には遥かに満たないという結果です。
相続人は非上場株式の相続により、相続税の支払いに苦慮する結果となりました。
非上場株式で相続税の物納ができない
相続税の支払いは基本的に現金による一括払いです。しかしながら相続は被相続人の死によって唐突に発生することから現金をストックしていないことも考えられます。相続税の現金一括納付が難しい場合は「物納」という方法があります。相続税の物納とは、現金納付にかえて物で相続税を支払う方法です。
非上場株式の相続で相続税に困ったら非上場株式を物納すればいいのではないかと思うかもしれません。非上場株式そのものを物納すれば相続税問題も、物納の問題点(次の見出しで解説)も片付くので、一石二鳥とも思うかもしれません。しかし、そう上手くはいきません。非上場株式の物納は極めて難しいのです。
物納を認めてもらうためには、以下の条件を満たす必要があります。
| ・物納のルールに沿っているか・金銭で支払えるのではないか・金銭のかわりにする物は何か |
物納については相続税法41条に定められています。
| 第四十一条税務署長は、納税義務者について第三十三条又は国税通則法第三十五条第二項(申告納税方式による国税等の納付)の規定により納付すべき相続税額を延納によつても金銭で納付することを困難とする事由がある場合においては、納税義務者の申請により、その納付を困難とする金額として政令で定める額を限度として、物納の許可をすることができる。 |
物納の申請をしたからといって必ず許可されるわけではなく、税務署が認めてはじめて物納が許されるのです。物納したくても税務署が許さなければ物納自体ができません。
非上場株式自体は物納の対象になります。ただ、物納の対象になる物として非上場株式の優先度は低くなっているのです。物納の際は順位1位の物が優先され、1位の物がなければ順位2位の物が物納の対象になります。
| 順位1位 / 不動産、上場株式、国債 など順位2位 / 非上場株式 など順位3位 / 動産 |
物納の優先順位はこのようになっています。
日本の相続ケースでは不動産が含まれている可能性が高いため、物納を申請しても「不動産があるなら不動産を物納」という話になってしまうのです。
また、非上場株式は管理処分不適格財産に該当するという理由から物納を申請しても許可されない可能性もあります。譲渡制限がついている株式などが管理処分不適格財産に該当します。
非上場株式の物納は不可能とまでは言いません。ですが、相続において順位1位の財産を有しているケースや物納対象として不適格と判断される可能性が高いことから、物納は極めて難しいのが現実になっています。よって、非上場株式を相続した際は物納には頼れず、別の方法で相続税に対処する必要があるのです。
非上場株式の相続では物納による対処が難しい。
以上が非上場株式相続の第2のデメリットになります。
非上場株式の問題点
仮に相続税を払って非上場株式を所持し続けるとしても、非上場株式を所持し続けること自体にも問題点があります。非上場株式を所持する以上、相続人は以下の問題により負担がかかることを覚悟しなければならないのです。
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非上場株式を現金化しようとしても極めて難しい
非上場株式を売却して相続税を払いたい。非上場株式を所持し続けていたが負担が重いため売却したい。相続人がこのように考えても、非上場株式の売却は極めて難しいという事情があります。
非上場株式は市場で売買されていません。そのため、上場株式のように市場で取引できないのです。市場で取引できないため、以下のふたつの方法が現金化の主な手法になります。
| ・自分で非上場株式の買い手を見つける・非上場株式を会社に買い取ってもらう |
ひとつ目は非上場株式の買い手を自分で見つける方法です。この方法の問題点は「買い手が見つからない可能性があること」と「非上場株式の発行会社が売買を認めない可能性があること」になります。
非上場株式は市場で流通していませんので、株式の売買益を求める投資家などには売り込みにくいという欠点があります。そのため、対象は同社の株を持っている他の株主や経営権を狙っている投資家などになるのです。非上場株式を現金化したいときに都合よく買ってくれる相手が見つかるとは限りません。
また、仮に非上場株式の買い手が見つかっても、会社側が認めない可能性があります。会社が認めない場合は買取請求をする方法が考えられますが、会社は請求を拒否する可能性があるのです。会社側とトラブルになる可能性もあります。
このように、非上場株式の現金化は難しく、売るに売れずに塩漬けになるという問題点があります。
非上場株式の相続問題は多くの人の身近な問題である
日本に数ある会社のうち、市場に上場している会社はたった0.2%しかありません。日本の会社の99.8%は非上場会社、つまり市場での株式売買が難しい会社なのです。日本の会社が100あれば、そのうちの99の会社は簡単に株式を売買できない会社ということになります。
経済産業省・中小企業庁の調査によると、日本の企業数は約421万社という結果です。個人事業主がそのうちの240万社を占めるといわれているため、中小企業などの会社は約170万社でしょうか。
中小企業などの会社が170万社あるということは、経営者も同じくらいの数いると考えて差し支えないはずです。仮にこの170万人の経営者が非上場株式を所持していたとしたらどうでしょう。170万人の相続の相続人ですから、莫大な数です。経営者以外の非上場株式の所持者とその相続人の数を考えると、さらに莫大な人数になるのではないでしょうか。
非上場株式の相続で困るという話はどこか遠い世界の話のように聞こえるかもしれません。非上場株式の相続は実に身近な問題です。
非上場株式を塩漬け状態で放置すると、今度は次の相続人が相続の際に相続税や現金化できないなどの問題に突き当たる可能性があります。現在の悩みの種である非上場株式が将来の孫子の悩みの種になる可能性も秘めているのです。
非上場株式を持っていても配当金に期待できない
株式を持っていれば配当の対象になるため、非上場株式の所持でもそれなりに利益が期待できると思うかもしれません。しかし実際は、非上場株式の配当にはほぼ期待できないのです。
株式の配当は株主総会に左右されます。非上場株式の場合は支配権を持っている株主は被相続人の親族や家族などのケースが多くなっているため、配当が親族や家族など有力な存在に左右されてしまうのです。配当額が少なくほぼ利益を得られない場合や、配当自体がない場合もあります。
非上場株式は市場に流通していないので、配当を魅力的にして自社に投資してもらう意味がなく、配当に消極的なケースもあります。
非上場株式を所持し続けても配当などによるリターンは期待できないという問題点があるのです。
非上場株式の少数株主は経営に対する影響力もない
非上場株式を持っていると、その株式を発行した中小企業の経営に関与できるのではないかと思うかもしれません。しかし、経営権を得るためには議決権のある株式の2分の1超を所持する必要があるため、相続人にとってハードルが高いものです。非上場株式を所持していても議決権数によっては、相続人が経営に関わることはほぼできず、メリットがありません。
仮に議決権のある2分の1超の株式を持っている場合や、それに近い株式を所持している場合は会社の経営権争いに巻き込まれる可能性もあります。経営に特に興味のない相続人や、被相続人がたまたま会社を経営していたなどのケースでは、経営権争いに巻き込まれて困惑し早く非上場株式を手放したいと思うかもしれません。
非上場株式を持っているからといって即座に経営に関われるわけではありません。加えて経営をめぐる争いに巻き込まれるといった問題点も無視できないのです。
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経営に関与できなければ事業承継税制の適用や繰り延べも不可
最近、事業承継税制というものが導入され、非上場株式の相続税が免除になる(相続税が繰り延べになる)、との報道を聞いたことがある方もいると思います。
しかし、非上場株式・少数株式を相続した場合、この事業承継税制は、たいてい適用されないのです。
非上場株式を相続して経営に関与できなければ事業承継税制の適用を受けられず繰り延べも不可となってしまうのです。
事業承継税制は事業の継続を前提として相続税や贈与税が優遇される制度になります。しかし適用には細かな条件があるのです。そもそもの目的が事業継続を前提にしていますから、事業継続とは関係のない相続人については、制度の目的から外れてしまうと適用されない他、納税猶予の取り消しといったリスクもあります。
税金の優遇措置は使えず、手放したくても売却できず、非上場株式の相続税負担だけが残る。これが非上場株式を相続した場合の問題点です。
非上場株式相続の解決策
非上場株式には相続税の問題があり、仮に相続税問題をクリアしたとしても、所持にはデメリットがともないます。そのため、非上場株式の問題へ対処する術がさらなる問題になるのです。
非上場株式の相続税や相続の問題にはどのような方法で対処したらいいのでしょうか。
非上場株式相続の一番の解決策は相続発生前に処分すること
非上場株式の相続や所持のデメリットの最大の解決策は相続発生前に非上場株式を処分することです。
処分の方法として代表的なものは売却になります。
非上場株式を売却する場合は第三者である買い手を見つける他、会社との任意交渉や民事調停により売却を進める方法もあります。
非上場株式を第三者に売却する
非上場株式を第三者である買い手に売却するという方法があります。
しかし、この方法には難点があるのです。非上場株式は売却益などを求める投資家にはあまりメリットがありません。市場で自由に売買できないからです。配当によるリターンを求める投資家や株主優待を求める投資家などにとっても魅力は乏しいといえます。
結果、同じ株主や経営権に興味のある投資家などへの売却が考えられますが、すでにお話しした通り売却がスムーズに進むとは限りません。思い通り売却できない可能性が高いのです。
会社に買取請求しても会社側が買取に応じるとも限らないため、売却が難しいという結論です。
非上場株式を任意交渉で売却する
この方法は弁護士などの専門家のサポートを受けて会社と任意交渉を行い非上場株式を買い取ってもらう方法になります。
会社が非上場株式の買取にメリットを感じれば、交渉により買取に応じてもらえる可能性があるのです。ただ、会社には株式買取の義務がないため、交渉しても応じてもらえないこともあります。会社側が交渉に応じる可能性がある場合は、会社に任意で応じてもらうかたちで解決可能です。
なお、非上場株式を会社との任意交渉で買ってもらうときは買値に注意が必要になります。会社側には任意交渉に応じる義務も、非上場株式を買う義務もありません。そのため、買い取ってもらえる場合の買い値は会社側が主張する買い値になる可能性があります。
会社は買う側ですから、当然ですができるだけ安く買いたいと考えます。非上場株式を可能な限り高値で買取して欲しい場合や「いくら以上で買って欲しい」という希望がある場合は注意してください。
非上場株式の売却に民事調停を使う
非上場株式の売却に民事調停を利用するという方法もあります。民事調停には強制力はありません。ですが、強制力がないからといって非上場株式の問題解決に使えないわけではないのです。
民事調停では非上場株式の買取の話し合いについて裁判官が介入します。裁判官が介入することによって事態が良い方向に動く可能性もあるのです。ただ、裁判官が間に入ってくれたからといって、非上場株式の所持者に有利なよう取り計らってくれるというわけではないため注意が必要になります。
ただし、民事調停は、当事者の任意の合意を基本としていることもあり、非上場株式の適正価格より売却価格は低くなりがちな点にも注意してください。
非上場株式の評価額の決まり方
非上場株式の評価方法は、会社の規模や被相続人が経営に携わっていたかどうか、あるいは少数株主であったかなど、状況によって大きく異なります。市場価格が存在しないことから、相続人自身が株式の本当の価値を把握していないケースも多く、その結果、想定以上の相続税が発生してしまうことも珍しくありません。
そのため、非上場株式を相続する可能性がある場合は、評価方法を事前に理解しておくことが重要です。
また、会社の後継者が非上場株式を相続する場合には、相続税の納税猶予や免除といった特例が利用できることがあります。ただし、後継者以外の相続人が株式を取得した場合は、これらの優遇措置は適用されない点に注意が必要です。
非上場株式の評価方法の種類
非上場株式の評価は、相続人や被相続人がどれだけ株式を持っていたかによって、主に2つの方法に分けて計算されます。
原則的評価方式
この方式は、一定割合以上の株式を持つ「同族株主」にあてはまる場合に採用されます。会社の規模によって、さらに次の3つの方法に分類されます。
- 大会社:類似業種比準方式(同じような業種の上場企業データを参考にして株価を算定する方法)
- 小会社:純資産価額方式→(会社が持つ資産や負債の価値をもとに評価を行う)
- 中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用(業種データと会社の資産価値の両方を使って評価)
株式の保有割合が大きいケースでは、この原則的評価方式が使われるのが一般的です。
配当還元方式
こちらは、被相続人や相続人が「同族株主」に該当しない場合に用いられる方法です。会社が支払っている配当金の額を基準に株式価値を算定するシンプルな方式で、原則的評価方式よりも計算が簡単なのが特徴です。
非上場株式は評価方法によって税額が大きく変わるため、それぞれの方式の違いを理解しておくことが非常に重要です。
非上場株式を相続する際の流れ
非上場株式を相続する際の手続きは、上場株式と比べると複雑になりがちです。ここでは、相続開始から名義変更、相続税申告までのおおまかな流れをわかりやすく整理します。
相続人の確認
まず最初に行うべきは、誰が相続人に該当するのかを確定させる作業です。相続人に漏れがあると、遺産分割協議をやり直す必要が生じるため、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などをすべて取得し、法定相続人の範囲を正確に把握します。
相続財産の調査
次に、被相続人が保有していた財産を調べます。上場株式であれば証券会社などに問い合わせて確認できますが、非上場株式は市場管理されていないため、証券会社では把握できません。
非上場株式の有無を確認するためには、以下の書類を手がかりに発行会社へ直接問い合わせる必要があります。
- 株券(発行がある場合)
- 株主総会招集通知
- 配当通知書
- 確定申告書控え など
遺産分割協議
遺言書が残されている場合は、基本的にその内容に従って遺産を分けます。遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い、遺産の分配方法を決定します。
非上場株式が含まれるケースでは、被相続人がその会社の実質的なオーナーであることが多く、株式を継ぐ相続人は事業承継を行うことになります。そのため、株式の評価や今後の経営について慎重に協議する必要があります。
また、非上場株式の評価額によって相続財産の配分が大きく変わるため、税理士に相談しながら進めることが重要です。
協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が実印を押し、印鑑証明書を添付します。
株式の名義変更
非上場株式を相続した相続人は、株主名簿の書き換え手続きを行います。株式発行会社、または株主名簿管理人へ連絡し、名義変更を依頼します。
一般的に必要となる書類は次のとおりです。
- 株式名義書換請求書
- 株券(発行されている場合)
- 相続関係がわかる戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 遺産分割協議書
手続きは会社によって異なるため、詳細は発行会社へ確認しましょう。
相続税の申告
相続財産の合計額が「基礎控除(3,000万円+600万円×相続人の数)」を超える場合は相続税の申告が必要です。
申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。期限内に遺産分割がまとまらない場合、配偶者控除や小規模宅地の特例などが使えなくなる可能性があります。
ただし、申告時に「3年以内の分割見込書」を提出しておけば、後日遺産分割が成立した際に更正請求をすることで、特例を適用し、納めすぎた税金の還付を受けることが可能です。
非上場株式の相続は複雑になることが多いため、専門家のサポートを受けながら進めると安心です。
非上場株式の相続対策をしっかりと考える
非上場株式の相続対策を事前にしっかりと行うことが重要です。
たとえば相続人が何も知らずにいきなり非上場株式を相続してしまえば、高額な相続税の支払いに苦慮することでしょう。しかし、事前に分かっていたらどうでしょう。非上場株式の相続についての相続人の意思確認や相続税支払いの準備、他の遺産と合わせた対策などができるはずです。相続人や被相続人の意思によっては、迅速に非上場株式の売却処分ができるかもしれません。
相続発生前に非上場株式も含めて相続対策しておくことが重要です。
最後に
非上場株式は市場で売却できず相続の際は多額の相続税がかかるなど、問題点やデメリットのある株式になります。
特に相続税の問題は深刻です。配当や経営権などの魅力がないから相続税評価が低いだろうと思いがちですが、非上場株式は評価が高くなりやすいため、相続税額も高額になりがちです。非上場株式を相続した結果、相続税の支払いに相続人が苦慮したり、相続税の支払いのために虎の子の手持ち資産を売却したり、相続税の支払いのために相続人が困窮したりするケースは少なくありません。
非上場株式の問題を解決するための最大の対処法は、早めに売却することです。相続発生の前の段階で非上場株式を売却してはいかがでしょう。
非上場株式の売却の際の方法や手続きに困ったら、まずは専門家に相談することをお薦めします。
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